イスラム共同体やイスラム国家における指導者や最高権威者の称号。イスラム用語のひとつ。元々、アラビア語で「代理人」を意味する。khalīfa(Caliph)。
イスラム教にて預言者ムハンマドの代理人とされ、イスラーム共同体の行政を統括し、イスラム信徒にイスラームの義務を遵守させる役割を持つ。西暦632年に預言者ムハンマドが死去し、ムハンマドに代わる指導者としてアブー=バクルが選出されて「神の使徒の代理人」を名乗ったことが始まり。その後1517年、マムルーク朝がオスマン帝国に滅ぶまでその制度が続いた。しかしオスマン帝国はスンナ派ムスリムに影響を及ぼすため、スルタンとカリフを持ち合わせた伝説を流布することにより「スルタン=カリフ制」としてカリフを復活させたが、1922年にオスマン帝国の滅亡により「スルタン制」が廃止。1924年には「カリフ制」も廃止された。同年にはフサイン・イブン・アリーがヒジャーズ王国のカリフだと名乗ったが、認められず。
2014年7月には、ISISのリーダーであったアブー・ドゥアによりイスラム国のカリフとして名乗った*1。
一神教と国家 イスラーム、キリスト教、ユダヤ教 (集英社新書)