大塚英志の著作。
1991年,太田出版より単行本刊行。
1995年,改題してちくま文庫収載。
〈物語〉と〈商品〉の間に成立した〈ふろく〉を通して,〈消費社会〉誕生の光景を描く,書き下ろし評論
'70年代というたそがれの時代に,少女たちが『りぼん』のふろくに託した“乙女ちっく”な夢。'80年代は〈ふろく〉が〈商品〉へと進化し,〈現実〉が少女の〈夢〉に寄り添った時代だった。
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モノの消費から記号の消費へ,「進歩」から「差異化」へ,男の子の夢から女の子の夢へ。『りぼん』のふろくがファンシー化を開始する'74年は高度成長の時代と消費社会の時代のちょうど境界に位置する時間である。'80年代を通じて多くの消費社会論が語られてきたが,その始まりの風景については実はあやふやなままである。(中略)『りぼん』のふろくとそれをめぐる元『りぼん』少女たちの想い出は〈消費社会〉誕生の瞬間を個々の消費者のレベルで記録する意義深い資料なのだといってよいだろう。
単行本初版の帯より引用