物語や小説なら何でもOKです。
はてなブログを持っていれば、誰でも参加できます。
「いらっしゃいませ~!」 早起きが得意な人が来店する朝。来店と同時に吹き込んできた空気は気持ちの良い暖かさ。 よかった……今日もいつもと変わらず清々しい。 「おはようございます。今日は何になさいますか?」 私はいつもの奥の席に腰を下ろした白髪のおじいさんの元へと愛想よく駆け寄った。 「おはよう。じゃあ、いつもので」 おじいさんは顔のしわを伸ばしてにこやかに微笑んだ。 「はい。かしこまりました」 そ…
季節の変わり目、寒暖差に億劫とした気持ちを抱きながら毎朝ふと思う。 父との思い出を振り返ることが多くなった。 キャンプの時に二人でバドミントンをした。小学生の時分ではとても勝てなかった。 海水浴で溺れかけたときに助けてくれたのは父だった。はぐれた兄を探そうとして深いところまで進んで溺れかけた私を救ってくれたのは父だった。 仲は決して良くない。けれども悪いわけでもない。ただ関係が築けなかっただけなの…
いやだ、という言うことさえ、ずっと忘れていた。そんなふうに言う選択肢はなかったから。 一度拒否したら、それで終わってしまうと思っていた。私にはなんの価値もない、ただその体に喜んでくれているのなら、それでどうにか引き留めて置こうと思っていた。 続きは下記リンクからどうぞ。mianohara.goat.me
こんばんは。お久しぶりです。今回は『focus on』の87番目『運命に焦がれる』をアップしました。 人を好きになったり、好きになってもらってお断りをしたり、好意というのには少なからずエネルギーが必要です。歳を経るごとにそこにエネルギーを注ぐのが難しくなったり、絶対的じゃないその関係が怖くなったりする。それなのに恋をする気持ちというのは思い通りにはいかない。そういう思いを今まさに自覚した、そんな女…
ドクのムシ 「寝るのがスキ?寝てるんじゃなくて、考えてるんだよ。色んなことを。考えるのはスキさ。時々眠ってしまうこともあるけどね」 色鉛筆の緑みたいな緑に色鉛筆の黄色みたいに黄色い水玉模様のクッションの上で、そう言ってズックは目をつむった。 マイクッションを持ち歩いているらしく、頭の下で手なんかくんでいる。 白にピンクのストライプのハーフパンツ。その下は黒いタイツ。水色のジャケットに赤い蝶ネクタイ…
現在進行形での黒歴史公開シリーズとします。 ファンタジー小説書いてるんだよ、という話は割と色んな所でしている気がしますが、現在大半の作品は公開停止としています。理由は簡単、ストーリーのプロットが全く作れないからです。プロット無しで本文をバカみたいに書きなぐったところで必ず物語が壁にぶち当たり、砕け散ります。 加えて更に最近リアル事情が大幅に厳しくなったことで、ファンタジーをニコニコしながら考えてい…
夜風が頬をかすめて気持ちがいい。酒は呑んでないが、気分が高揚していて体が熱い。ベルは早朝にも鍛錬をしようと早めに呑みの席を立ったのだ。生真面目な性格だとつくづく自分でも思った。 この辺りは飲食街で、夜更けにもかかわらずまだ人通りが多かった。5人の男の集団が酔っ払っているのか大声で喋りながらふらふらとしており、その内の1人が、ベルの肩にぶつかってきた。翼がないのでソレイユの住人ではなく他国の者のよう…
次のページ