IBMのUNIX機やサーバーなどで採用されていたPOWERアーキテクチャをベースとし、IBMとモトローラが共同で開発したRISC (パイプライン) 構成のアーキテクチャを有する、32または64ビットのMPU。「PPC」と略記されることもある。AIM(Apple、Freescale Semiconductor(モトローラ)、IBMによる対Wintelチーム)唯一の産物でもある。
Apple社製コンピュータMacintoshに採用されていることで有名だが、IBMのUNIX機や組み込み高性能コントローラーとしても大量に使われている。またGAMECUBEやWiiにもPowerPC G3をベースに改良したGekko、Broadwayと呼ばれるMPUが、XBOX360には3コアにカスタマイズしたG5が採用されており、PLAYSTATION 3のCellプロセッサもPowerPCベースである。
Freescale SemiconductorはAltiVec (Appleでの呼称はVelocity Engine)と呼ばれるベクトル演算ユニットを有するPowerPC G4を開発したが、IBMはPowerPC G3の高速化という道を選び、両社の蜜月時代は終わった。
現在、IBMがPowerPC G5を供給中。Freescale SemiconductorはPowerPC G4の高速化に専念している。一方で、PowerPC G5の熱効率や処理速度が一向に向上せず、またモバイル向け低消費電力のPowerPCを開発しないと言うことでAppleは2006年よりIntelのMPUに変更し、2007年には移行を完了すると表明、AIMの提携は2006年8月7日すべてのMacファミリーがIntel化を達成し、幕を閉じた。
PowerPC G3は32ビットのCPU。第3世代(Generation 3)ということでG3とついているが、第2世代のPowerPCはG2とは言わない。任天堂のゲーム機GAMECUBEとWiiにもこれを改良したMPUが採用されている。
PowerPC G4はG3に128ビットの処理能力を持つベクトル演算ユニットAltiVecを加えたMPUで、現在はMacの主力となっている。Macに採用された当初は途端にクロックダウンしたという経緯も持つ曰く付きのプロセッサ。
なお、AltiVecの能力を引き出すにはソフトウェア側での対応が必要であり、多くのソフトウェアで対応できていない。一方で、iTunesのエンコーダはAltiVecに最適化されており、驚異的な速さでエンコードを完了できる。
PowerPC G5はフル64ビットのMPUで、銅配線やSOI(silicon on insulator)、90nmプロセステクノロジーにより高速化している。AltiVecについてはIBMが見事に再現し、G4のものと完全に互換性がある。
これをPowerMacに導入して「世界初の64ビットパーソナルコンピュータ」と大々的にリリースしたのが2003年のことである。
また、2005年10月にデュアルコアPowerPC G5 (PowerPC 970MP)を搭載したPower Mac G5 Dual/Quadがリリースされた。
現時点でのシングルコアG5のクロックスピードは最高で2.7GHz、デュアルコアG5のクロックスピードは最高で2.5GHzとx86系MPUには全く敵わないが、FSBやデータバスなどプロセッサ以外の構造が見事にカバーし、x86系MPUより高速である。
FSBは最高1,333MHzのXeon、1,066MHzのPentium4 Extreme EditionとPentium Extreme Edition、Core 2に対し、シングルコアG5は最高1.35GHz、デュアルコアG5は最高1.25GHzで双方向64ビットである。