国内で生産されたすべてのモノやサービスの(輸入原材料の価格を除いた)付加価値の価格水準を示す指数。ようは、GDP(国内総生産)算出時の物価指数。
以下の式で求められる。
GDPデフレーター = 名目GDP ÷ 実質GDP × 100
消費者物価指数が国内で消費されるモノやサービスの価格の変化を示すものであるのに対し、GDPデフレーターは国内の企業の利益や労働者の賃金など所得の変化を示す指数であると考えられる。
以下に実際の計算例を示す。
豆腐だけを生産している国を考えよう。この国では大豆を育て、そのすべてを豆腐に使う。
また、豆腐1単位の製造に燃料1単位が必要で、それは全量輸入でまかなっているものとする。
ある年の豆腐の生産量が100万単位で、豆腐1単位が100円、燃料1単位が10円だとすると、この年の名目GDPは
名目GDP: 100円×100万 − 10円×100万 = 9000万円
となる。これを基準年とする。
翌年、燃料価格が高騰し1単位が50円に上がった。これではやっていけないので、豆腐の価格を120円に上げることになった。
生産量はちょっと増えて110万単位。消費される燃料も110万単位である。
この年の名目GDPと実質GDP、および成長率はそれぞれ
名目GDP: 120円×110万 − 50円×110万 = 7700万円
実質GDP: 100円×110万 − 10円×110万 = 9900万円
名目成長率: 7700万÷9000万 − 1 = -0.144444… -14.44%
実質成長率: 9900万÷9000万 − 1 = +0.10 10%
となる。
GDPデフレーターは、名目GDP÷実質GDPであるから
7700万÷9900万×100=77.7777…
となる。前年(基準年)のデフレーターは100であるから、前年比-22.22%の激しいデフレである。
しかし、消費者物価で見ると、(唯一の消費財である)豆腐が100円から120円に上がったので、+20%のインフレということになる。
このように輸入物価が高騰した場合には、消費者物価ではインフレだが、GDPデフレーターで見ればデフレということが起こり得る。