著者渾身のライフワークである「大水滸シリーズ」がついに完結。「水滸伝19巻」、「楊令伝15巻」、「岳飛伝17巻」に続く「チンギス紀17巻」ですから、全部で68巻。気の遠くなるようなページ数です。著者は直木賞選考委員を退任した際に「最後の長編に挑みたい」と表明しましたが、それは本シリーズの続編になるのでしょうか。ただ本シリーズには「書き切った感」が強く出ているので、そうではないように思えます。 ホラズム征服によって、チンギス個人による版図拡大はほぼ終了しています。最晩年の西夏遠征や金国侵攻は、おまけのようなものでしょう。そしてチンギスは既に自身の死を感じ取っていました。それは幻のような気配を発す…