フランス文学者・翻訳者、エッセイスト。1949年、横浜市生まれ。
東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位修得退学。 共立女子大学文芸学部教授.専攻は19世紀のフランス社会と文学. 著書『「レ・ミゼラブル」百六景』(文藝春秋)、『新聞王伝説・パリと世界を征服した男ジラルダン』(筑摩書房)『馬車が買いたい!??19世紀パリ・イマジネール』(白水社)『職業別パリ風俗』(白水社)『パリでひとりぼっち』(講談社)『悪党が行く』(角川選書)他、多数。
昨日紹介した「『パンセ』で極める人間学」よりも、もっと手軽にパスカルとパンセのことを知ることができる1冊。 「NHK「100分de名著」ブックス パスカル パンセ (鹿島茂、2013年3月初版、NHK出版) NHKでの放送は2012年6月。NHKオンデマンドで見る場合は、第45回〜48回の全4回です。 パンセが何であるか、パスカルがどういう人かは、一つ前の記事で紹介しています。 本書は、現代に生きる人たちのお悩み相談に対して応えてくれるパンセの断章を紹介していく、という構成になっていて、より一層読みやすいです。 登場人物たちの悩みは様々で、自分に当てはまるものもきっとあるはず。 よりライトにパ…
好きな書き手を追いかけていると、知らなかった世界に誘われます。 鹿島茂さんを追いかけていたら、パスカルの残したパンセ抄と出会いました。 「『パンセ』で極める人間学」(鹿島茂 著、2022年6月初版、NHK出版新書) 「人間は考える葦である」 「パスカルの定理」「パスカルの原理」「ヘクトパスカル」 どれかひとつはきっと聞いたことがあるのでは。 そのどれもが、のパスカル(本名・ブレーズ・パスカル)から。 17世紀のフランスの数学者であり、物理学者であり、哲学者。 数学の世界に留まるのではなく、人間に興味を持ち始め、のちには神学の道にも入っていく。 天才という言葉がこれ以上なくぴったりの人。 「パン…
おはようございます。 読書がライフワークになっている 医療業界のコンサルタント ジーネット株式会社の小野勝広です。 子供の頃から 私は読書が好きでした。 当時住んでいた家の隣に 児童館があって そこでいくらでも本を借りることができたのですね。 小学生当時は 江戸川乱歩シリーズとか 星新一さんの本とか 貪るように読んでいた記憶があります。 ところが中学生、高校生は もう野球一色になってしまって しばらく本から離れてしまったのですね。 一応、大学も野球推薦で入った手前 勉強より野球という時期を過ごしてしまったのですが 20歳くらいから読書熱が復活してきて それからは今に至るまで 自称ではありますが…
マルヴィルの写真集表紙 Ⅲ 写真、スポーツ マルヴィルのパリ 現在のパリの街並みは1853年頃から約20年ほどのあいだに、旧来の街並みを人為的にすべて破壊したうえで、綿密な設計図に基づいて建設されたもの。 カルチェ・ラタンやマレ地区に一部過去の街並みが残っているだけ。 失われたパリを写した写真家、ウジューヌ・アジェ 彼の作品は大改造後の世紀末からベル・エポックにかけての二十世紀のパリ シャルル・マルヴィルの作品がバルザックやユゴーのパリ、つまり大改造以前の失われたパリを残している。 パリ民衆の反抗精神に対してナポレオンⅢ世のとった方法 ・中心部と東部の人口密集地区を街区ごと破壊し、ここに大砲を…
パリ時間旅行 鹿島茂 著 表紙 パリ時間旅行 鹿島茂 著 筑摩書房 発行 1993年6月1日初版第1刷発行 この本では、パリの中に穿たれた、パサージュ、街灯、あるいは単に光、音、匂いなどというタイム・トンネルを通ってこの時間都市に旅をして、たっぷりと十九世紀の空気を吸い込んでいくことを目的としている、とのことです。 Ⅰ パリの時間旅行者 パリの時間隧道(パサージュ) パリの建物は条例により高さが地域で一定している。そのせいか、屋根裏部屋の窓から眺めるとほとんど視界を妨げるものがない。 パサージュというのは、通りと通りを結ぶ一種のアーケードの商店街で、十八世紀の末から十九世紀の前半にかけて建設さ…
読んだ本 鹿島茂『大読書日記』青土社 (2015) アンリ・ミュルジェール『ラ・ボエーム』光文社古典新訳文庫 (2019) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 『ラ・ボエーム』 300項強までたどり着いた。 いろんな偶然から詩人、音楽家、画家、哲学者が集まってひとつの部屋でわいわいやる。 恋愛の話ばかりで、フランス人はお盛んなようで、と思いながらだらだらと読んでいた。 芸術家たちが集まって、深い話でも展開されるのかと期待したが、トーマス・マン『魔の山』の思想小説とは趣が違うなと思いながらも、ひとまず読みやすいので最後まで読んでみたい。 性にオー…
読んだ本 鹿島茂『書評家人生』青土社 (2023) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 この方は読書日記系の本を多く出している。 そしてその対象の本も分野が多様で、理工系から人文系、エッセイや詩といったラインナップであり次に読みたい本を見つけるときに使うもよし、見識を広めたいときに読むのもよし、とりあえず読書をしたいときに読むのもよしと、読書好きには有り難い一冊である。 2年前に夢中になって読んだ『善と悪のパラドックス』もこの本で触れられている。 『バカロレア幸福論』の書評や、シモーヌ・ヴェイユに関する箇所を読んだ。 フランスでは哲学教育が日本…
今週のお題「おとなになったら」 今回は、子供の日にちなんでのお題らしい。 思い描いていた「大人」になれてる? となっているが、答えは否だ。 きちんと整理整頓ができるオトナでありたかったが、今に至るまで、うまくいっていない。だから、“積読”が溢れてしまうのだ。 とはいえ、上には上がある。古書の収集家として知られている人の場合、集めるのも大事だが整理も大変そうだ。 『歴史の風 書物の帆』 鹿島茂 著 小学館文庫 古書のコレクターで有名な鹿島氏による書評を集めた本である。 鹿島氏は仏文学者であるので、当然ではあるが、フランス関連の本が多い。 その中でも、パリを舞台にしたもの、パリに関する本が多いよう…
「『パサージュ論』熟読玩味/鹿島茂」青士社読了。感想メモは、鹿島教授の敬称略で。手にした時は、疑問符を浮かべたままとりあえず読了、になるかと思っていたが、本のまえがきにあったようにダンジョン攻略をするようなワクワク感で読了。が、ワクワク感と理解度は比例しない。鹿島茂がせっかくいろいろと噛み砕いて難解なベンヤミン世界を繙いてくれているのだが、私の理解は【熟読】には到底及ばない。語学もそうだが、どんな分野もその分野の単語を知らないと咀嚼しきるのは難しいと痛感。しかし、パサージュ論への道標には十分すぎるほどなった。パサージュ論、文庫五冊を買ってしまうほどに。*『集団の夢』『コレクトする子供』『遊歩社…
★ 佐野広実さんが、『戦火のオートクチュール』(祥伝社文庫)を上梓されました。 なお、これは『マドモアゼル』(島村匠名義・祥伝社)の文庫化になります。鹿島茂さんの解説がついています。 ・佐野広実『戦火のオートクチュール』祥伝社文庫、2023年3月9日発行、1,034円(税込) ※祥伝社のHPも、ご覧下さい。 www.sun.s-book.net 戦火のオートクチュール(祥伝社文庫さ24-1) 作者:佐野広実 祥伝社 Amazon
こんにちは! 吉田菊子です。 ほぼ毎週木曜日の夜9:30から、20~30分、朗読をお届けする、zoom白菊朗読会。 前回、4月18日にご参加くださった皆さん、ありがとうございました! 今度は4月25日(木)です。 zoomミーティングに参加するには、 以下の「Launch Meeting - Zoom」と青い文字で書いてあるところをクリックしてください。 ミーティングIDやパスワードの指定をする必要はなく、直接、ご参加いただけます。 (青い文字の下にある【注意事項】も、必ずご確認ください。) Launch Meeting - Zoom ※ 過去の回の青い文字をクリックしても、ご参加できません。…
どうも図書館に本かえしたらもう雨だし 風呂いくきがしないので明日にまわすか とか思っている(これから夕食をくう) ぱっとしない人生とかどんとこいだが いやなことばかりの人生はいやんだねえ あとどうもいろんな人がおなじ問を考えている ようだす 労働のあとにスタバでメモつくりしてた(かえす本) 鹿島茂のやつで「バルザック戦略」もよかった(仏文研究者として ライバルが少ない)が だんだん鹿島は19Cフランスの世俗の風俗の専門家になっていくのだった あと吉本隆明「共同幻想論」の話が 例なのに 例以上に強く大きく書かれているし引用もたくさん その中で「中心」になる対幻想 それは家族のはじまり・・・という…
こんにちは! 吉田菊子です。 ほぼ毎週木曜日の夜9:30から、20~30分、朗読をお届けする、zoom白菊朗読会。 前回、4月11日にご参加くださった皆さん、ありがとうございました! 今度は4月18日(木)です。 zoomミーティングに参加するには、 以下の「Launch Meeting - Zoom」と青い文字で書いてあるところをクリックしてください。 ミーティングIDやパスワードの指定をする必要はなく、直接、ご参加いただけます。 (青い文字の下にある【注意事項】も、必ずご確認ください。) Launch Meeting - Zoom ※ 過去の回の青い文字をクリックしても、ご参加できません。…
読書5 図書館4 海外旅行が自由化された1964年当時の生の情報に接したくて、新聞記事をマイクロフィルムで読むことにした。後の時代なら、新聞は縮刷版があるのだが、60年代だとマイクロフィルだ。今なら、新聞社のデータベースを利用すれば、自宅(有料)か図書館(無料)で、過去の記事が読める。 後の時代に編集した資料ではなく、その当時の資料は当たり前だが「活きがいい」。よく言われる話で、大掃除や引っ越しの時に、古新聞を見つけるとついつい読んでしまうという話題があるが、まさにそうで、図書館で古い記事を読んでいるのが楽しくて、「1964年の海外旅行」というテーマを離れて、事件報道でもマンガでも広告でも、何…
こんにちは! 吉田菊子です。 ほぼ毎週木曜日の夜9:30から、20~30分、朗読をお届けする、zoom白菊朗読会。 前回、3月28日にご参加くださった皆さん、ありがとうございました! 今度は4月11日(木)です。 zoomミーティングに参加するには、 以下の「Launch Meeting - Zoom」と青い文字で書いてあるところをクリックしてください。 ミーティングIDやパスワードの指定をする必要はなく、直接、ご参加いただけます。 (青い文字の下にある【注意事項】も、必ずご確認ください。) Launch Meeting - Zoom ※ 過去の回の青い文字をクリックしても、ご参加できません。…
・『世界共和国へ』をあさって返すのでそのまえにメモ 感じ方の問題 ~なのです と言われて驚くのか違和感を感じるのかそれはその人がそれまでにどういう スタンスで歴史とかに向き合っているかによるわけで ・どんな「国」もそうなるまえに宗教があって みたいなこと言われたらびっくりするというかおどろくというか 不思議な気になるわけですよ オレはこの2日くらい宗教についていろいろ考えかたが変わってきている ・お金のことはなんとなく体感として(この「体感として」はずるいいかたでほんとは「考えなしに」なんだけど)どんな社会でもおおよそお金またはお金としてつかえるモノ(米)(羊)はあるだろうつまり交換 とは思っ…
ランキング参加中ライフスタイル ランキング参加中読書 本日の体重は65.7キロ、体脂肪5.7%であったが、体感ではもっと重い感じではある。 これを書いているのは3月11日であるのだが(すこし書き溜め)、今日明日と出張接待となっているのでなかなか日記を書くことは困難であろうと思っている。 土曜は最近開始した神保町にあるパサージュ・ソリダというひと棚本屋の懇親飲み会に行って来た。こちらの会社の概要はきちんと把握していないのだが、鹿島茂さんのご関係であるようだ。ご家族も関係されているようであるが、ご家族と言えば1996年のエッセイ『子供より古書が大事と思いたい』(講談社エッセイ賞)のことも思い出すと…
について考えているとやはりグレーバーにいきつくのであった はじめてのアナキズム|松村圭一郎 | みんなのミシマガジン こちら松村氏の連載でグレーバーの体験(税金をだれもはらっていなかった) が著作から紹介されている しかしこれは「恒常的」に継続できるものなのか? とかを考えてみたい さいわいグレーバーのそれはこないだ丸善で買ってきたし 今日は図書館延長おそいよの曜日なのでかりてきた いろいろと MMTの話(島倉原さんのやつ)とかね あと鹿島茂『思考の技術論』またかりてきた 厚すぎるので読めんのである(通読する気もないが) ここにもやはりエンゲルスとモーガン『古代社会』の話が出てくるのだる (ま…
ようやく桜🌸が咲いて新年度。昨日はご近所の大学で入学式があった。思えば入学式に桜🌸という光景も久しぶりかもしれない。 さて、「旅するやまねこ舎」の棚主になって月末で丸1年。お買い上げくださった皆さま、誠にありがとうございましたにゃん😸 そろそろ棚のリニューアルを考えたいところで、あれこれ思案中。 そんな中、本の街神保町のシェア型書店「PASSAGE by all reviews 」プロデューサーであり、古書蒐集家、フランス文学者である鹿島茂さんのエッセイを読んでみた。 「子供より古書が大事と思いたい」鹿島茂 著 1999年11月10日 第1刷 発行所 株式会社 文藝春秋 本書は『ユリイカ』(青…
本書が書かれた19世紀中頃は,フランスの官僚機構が揺るぎないものとして確立をみたときであった.《君主》の代わりに《万人》に仕えるという目的は,いつしか巨大な無責任体制となり,さまざまな非能率を生み出していく.時代の幻視者バルザックはこの近代官僚制度と俸給生活者(サラリーマン)の原初形態を看破する――. 言論・出版の自由の制限,選挙法の改定による資産家優遇などに反発した民衆の武装蜂起「7月革命」に反発,正統王朝派に転向したオノレ・ド・バルザック(Honoré de Balzac)は,政治的には君主制主義,宗教的には正統的カトリシズムの傾向をもっていた.悪政――歴史的断絶が残した「傷」――を癒そう…