〈少年Nの手紙 №3〉 僕の家庭のことは前にも書きましたが、母は相変わらず一日中休みなく働いています。が、責任ある部署についているので、それなりの給料はもらっているようで、今は多少の蓄えがあるから安心して、と言います。学歴で随分苦労させられた父の遺言だからと、母は僕の大学への進学を強く望んでいます。どちらかというと教育ママで、中学の時はレベルの高い有名塾に通わされました。しかし、僕はこれ以上母に負担をかけたくないと思っています。父が病気の所を無理して働き詰に働き、その結果命を縮めたという母の話が脳裡に焼きついており、母を同じ目に合わせたくはないからです。今の高校も、大学進学特別教室には奨学金制…