書籍をデジタルデータに変換して電子書籍にする「自炊」を、書籍を裁断することなく行うという試み。
非破壊自炊の基本は「ページをめくりながらカメラで撮影する」というものである。機材としては「BookDrive」*1などが知られている。Google ブックスも、こうした自動めくり機能を備えた機材を使用していると言われている*2。また、東京大学工学部計数工学科の石川奥研究室では、高速にページをめくっている様子をムービー撮影し、各ページを抽出する「ブックフリッピングスキャニング」が研究されている*3。ただし、これらの機材は個人が気軽に購入できる価格ではなく、個人の自炊方法としては現実的ではなかった。
id:yonta24は、手軽な非破壊自炊として「iPhone 4Sのムービー撮影機能を活用する」という手法を考案。これは、透明アクリル板にiPhone 4Sを乗せてムービー撮影を開始し、その下で書籍をめくっていくというものである。iPhone 4Sのムービーの解像度やオートフォーカスロック、露出ロックにより、「文字を読むムービー」の撮影が現実的に可能となったという。
ただし、ムービー自炊には下記のような欠点がある、とid:yonta24本人は指摘している。あくまで「読めれば良い」という用途に向いている。
難点は、指定のページに飛べない、しおりが出来ない(途中で読み終える時は、何分何秒だったかをメモします)、ファイルサイズがでかい、大判の本で文字が小さい時は読めるかどうか微妙。。などです。
【非裁断自炊】楽に自炊する方法を考えてたら、「ムービー自炊」に行き着いた。 - yonta24のブログ
id:moto_makaが上記のムービー自炊を自身のはてなダイアリーで取り上げたところ、@sumihiroが「これはよい発想。静止画を自動で切り抜くアプリがあれば完璧なのか」とTwitterで発言*4。id:moto_makaの「よろすくです!m(_ _)m」という要望*5に応え、非破壊自炊向けの最速自炊カメラ「Jiucie」が開発された。
Jiucieは「ページのめくり動作」を検知し、止まったと判断したときに写真を撮影してカメラロールに保存する、という機能を持ったカメラアプリである。id:moto_makaによると、マンガの単行本1冊を10分弱で処理し終えることができたと報告されている。iPhoneを固定する台を工夫することで、処理効率はさらに上がると思われる。
その後、@sumihiroは自身が代表を務める株式会社さいこちから「最速非破壊自炊カメラ JUCIE」を正式なiPhoneアプリとして2011年12月19日にリリースした。詳しくはキーワード「JUCIE」を参照。
*1:Atiz - Book Scanners, Digitization & Scanning Solutions
*2:Google、画期的書籍スキャン技術で特許を取得していた | TechCrunch Japan
*4:唎酒師スミヒロ🍶 on Twitter: "これはよい発想。静止画を自動で切り抜くアプリがあれば完璧なのか。>たった10分でiPhone 4Sを使って「iPad向け電子書籍」を非破壊的自炊する方法 - もとまか日記乙 http://t.co/ps3C8ePa"
*5:motomaka on Twitter: "よろすくです!m(_ _)m “@sumihiro: これはよい発想。静止画を自動で切り抜くアプリがあれば完璧なのか。>たった10分でiPhone 4Sを使って「iPad向け電子書籍」を非破壊的自炊する方法 - http://t.co/eTyBApIQ”"