わたしが子供のころ、毎年12月25日の朝には枕元に包装紙につつまれた本が置いてあった。本じゃない年もあったかもしれないけど本だった。何の本だったかはいまはわからない。あれが欲しいとか誰にも言ったことはなかったはずだけどそれは毎年届いた。わたしはそれをとても「個人的なこと」だと思っていて、それが届くのは全人類共通の「当たり前」じゃないことも(なぜか)わかっていたから学校で誰かに今年は何をもらったとか自分から話したりしなかった。我が家は生活費の出納係を父がやっていた。それは母にお金を自由に使わせないとかそういう意地悪からしていたのではない。と思う。その頃の勤め人は給料日には袋に入った現金を持ち帰っ…