昔読むのを断念した「隣の女」を読み終えた。 挑んだのは20代前半だったと思う。冒頭にミシンが出てきたこと(その頃わたしはミシンを踏みまくる生活をしていた)、最初の展開から心揺さぶられたこと、作品からだだもれる大人の色気に憧れたことが手に取った動機だった。 その時は若すぎたのか、経験が足りなかったのか、刺激についていけなかった。でも引っ越しの度に、これはいつか精神的に成熟したら読もう、と処分せずにいた。 10数年後に読み返したいま、じっくりと味わえた。経験を重ねて魅力が分かる年になったようだ。やっぱり一番に感じたのは人間の「色気」で、体から隠し切れない、匂いたつような魅力を感じる。 これはどこか…