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陋巷に在り

(読書)
ろうこうにあり

小説。酒見賢一著。新潮社刊(現在は新潮文庫所収、全13巻)。
古代中国は春秋時代末を舞台に、孔子最愛の弟子・顔回を主人公にした大河歴史小説にして一大サイキック伝奇巨編、そして東アジア的ファンタジーの到達点の一つでもある。と思う。資料や研究(おもに白川静系)を丁寧に読みこんで、時に緻密に、時にダイナミックに綴られる物語は圧巻。挿絵は諸星大二郎、酒見は諸星の『孔子暗黒伝』がなければこの作品を書こうとは思わなかったという。

  • 『陋巷に在り(1)儒の巻』(新潮文庫)

1996.4.1 350p 21cm(A5) ¥520(本体¥505) ISBN:4101281130
聡明で強い呪術の能力を持ちながら、出世の野心なく、貧しい人々の住む陋巷に住み続けた顔回。孔子の最愛の弟子である彼は師に迫る様々な魑魅魍魎や政敵と戦うサイコ・ソルジャーだった…息づまる呪術の暗闘、政敵陽虎との闘争、影で孔子を護る巫儒の一族。論語に語られた逸話や人物を操りつつ、大胆な発想で謎に包まれた孔子の生涯を描く壮大な歴史長編、第一部。

  • 『陋巷に在り(2)呪の巻』(新潮文庫)

1997.8.1 349p 15cm(A6) ¥514(税別) ISBN:4101281149
儒者の抵抗によって思わぬ苦戦を強いられた陽虎は、太古の鬼神・饕餮を召喚。瞬く間に儒者の屍の山が築かれていった。その凄まじさに孔子の弟子たちは恐れをなすが、一人、顔回だけは落ちついていた…。土俗的な術を使う政敵との熾烈な闘い、媚術で弟子を次々に骨抜きにする謎の美女の登場、更に許嫁と顔回の恋の行方は…。

  • 『陋巷に在り(3)』(新潮文庫)

1998.5 311p 16cm ISBN:4101281157
孔子に対抗して塾をかまえ、急速に勢力を拡大していく謎の人物、少正卯。その屋敷に住む妖艶な美女、子蓉は恐るべき性魔術・媚術の使い手だった。練達の儒者である子路をはじめ孔子の弟子が次々と子蓉の術の虜となり、ついに魔の手は顔回へと及んだ。透徹した精神と類稀な呪術を備えた顔回さえも、子蓉の掌中に落ちてしまうのか? いよいよ佳境に突入する大河娯楽巨編、第三巻。

  • 『陋巷に在り(4)徒の巻』(新潮文庫)

1998.9.1 296p 19cm(B6) ¥438(税別) ISBN:4101281165
孔子一門をねらいうちにしてゆく妖艶な性魔術使い子蓉は、唯一術をやぶられた顔回を籠絡すべく陋巷を訪れ、ついに顔回の許嫁の美少女に出会う。子蓉から鏡を貰った少女だが、そこには恐るべき媚術が施されていた…。一方、三都の連続毀壊を密かに企てた孔子は、協力を申し出た政敵少正卯の真意を測りかねていた―。想像を絶する凄まじい死闘が繰り広げられる急転直下の第四巻。

  • 『陋巷に在り(5)妨の巻』(新潮文庫)

1999.7.1 287p 15cm(A6) ¥476(税別) ISBN:4101281173
とうとう業師五六まで取り込まれてしまった…。媚術に操られた美少女は、厳重な見張りをものともせず、次第に国を揺るがしかねない勢力を形成してゆく。一方、孔子の使者として費城に赴いた公冶長は、そこで意外な裏切り者と対面した。少正卯一味に攪乱される孔子一族の危機。春秋の世を戦国の世に踏み込ませていったのは誰か―。東洋の房中医学にも分け入る、興味津々の第5巻。

  • 『陋巷に在り(6(劇の巻))』(新潮文庫)

1999.12 309p 16cm ISBN:4101281181

  • 『陋巷に在り(7)医の巻』(新潮文庫)

2002.10.1 397p 15cm(A6) ¥552(税別) ISBN:410128119X
費の反乱を危機一髪のところで鎮圧した孔子は、少正卯一派の実力を思い知らされていた。そこに突然、妖女・子蓉が訪れ、孔子との面会を申し込む。その子蓉の媚術により瀕死となった美少女・〓は、顔氏の里・尼丘に運ばれ、南方を遍歴して医術をきわめた医〓の診察を受ける。医〓は、医の力によって〓を救えると断言するが…。名医の登場で新たな生彩を放つ、一触即発の第7巻。

  • 『陋巷に在り(8)冥の巻』(新潮文庫)

2003.2.1 414p 15cm(A6) ¥590(税別) ISBN:4101281203
妖女・子蓉の媚術により、陋巷の美少女・〓は次第に病み衰えていく。満月の強大な魔力を利用する子蓉と巫医の神である祝融の力を借りる異形の南方医との、命を賭けた闘いが始まった。孔子最愛の弟子・顔回は、〓の内に潜む鬼魅を制するために、薬草漬けの酒で一時的に意識を殺し、九泉に向かった…。冥界に降りた顔回をめぐり、神同士が激しく相争う、驚天動地の第8巻。

  • 『陋巷に在り(9)眩の巻』(新潮文庫)

2003.7.1 381p 15cm(A6) ¥552(税別) ISBN:4101281211
数々の恐怖と苦難の試練の果てに、〓のもとにたどりついた孔子最愛の弟子・顔回。人間の生命力を吸い上げ、精神を窒息させる危険な場所・冥界。一刻も早い脱出が必要だ!妖女・子蓉と〓、そして顔回。冥界の掟に反し、三人そろっての帰還にあくまで固執する顔回に、子蓉は、三人を二人にし、二人を一人とする、驚くべき術を提案する。冥界の規則さえも欺く、奇想天外の第九巻。

  • 『陋巷に在り(10)命の巻』(新潮文庫)

2003.11.1 410p 15cm(A6) ¥590(税別) ISBN:410128122X
尼山の祠に奉納する舞の舞手に選ばれた尼山顔氏の長の末娘顔徴在。激しく降りしきる雷雨の中、無我の境地で舞い続ける徴在に、激しい光が下り立った。彼女を包み込んだ尼山の神。その神が彼女に告げたのは、一生一人であることを運命づけられた彼女が、「三年後、子を生むことになる」という驚くべき「命」だった…。孔子出生の秘密がいよいよ明らかになる、空前絶後の第10巻。

  • 『陋巷に在り(11)顔の巻』(新潮文庫)

2004.3.1 422p 15cm(A6) ¥590(税別) ISBN:4101281238
魯の国の政権安定のために孔子が企てた三都毀壊策。その最終段階の成城討伐は、成の城宰・公斂処父の抵抗にあい、膠着状態におちいっていた。そこで、狂巫に身をやつした悪悦の使嗾をうけた処父は、孔子の動揺を誘うため、その故郷・尼丘襲撃に兵を向わせる。そして、その頃、子蓉も何ものかに誘われるように、尼丘を目指していた。孔子の故郷に危機が迫る、危急存亡の第十一巻。

  • 『陋巷に在り(12)聖の巻』(新潮文庫)

2004.7.1 405p 15cm(A6) ¥590(税別) ISBN:4101281246
孔子が魯の政権安定のために計画した三都毀壊の最終策、成城破壊は成兵の激しい抵抗にあい、一進一退の状況に陥る。城宰の公斂処父が孔子を霍乱するため、その故郷・尼丘に派遣した成兵たち。そのまえには顔儒たちが立ちはだかる。そして、尼山の神に受け入れられた子蓉は、その祠の前で最期の舞を踊りながら、邑に突入した成兵たちを次々と倒していく…。愛別離苦の第十二巻。

  • 『陋巷に在り(13)魯の巻』(新潮文庫)

2004.12.1 685p 15cm(A6) ¥819(税別) ISBN:4101281254
宿敵・少正卯の誅殺に成功した孔子だったが、三桓家の策謀により、実権を持たない大司寇の位に祭り上げられ、魯の政権の中枢から遠ざけられてしまう。魯の改革に失敗した孔子は、己の無力さに失望し、「天命の求めるところ」を探すため、最愛の弟子・顔回らとともに魯の地を出て、放浪の旅に出ることを決意する。十年の歳月をかけて描き出した渾身の孔子伝、堂々完結の第十三巻。

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