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防水工事

(一般)
ぼうすいこうじ

防水工事の目的

 RC(鉄筋コンクリート構造物)、RC(鉄骨鉄筋コンクリート構造)、S(鉄骨構造物)などの構造では、屋上面の漏水のおそれがあるために防水工が必要です。ほとんどの建物では、コンクリートを屋上に用いていますが、コンクリートは打設後に0.02%程度の初期硬化収縮による微小クラックが発生し、その後、建物の動きや温度変化等によって微小クラックが成長し、構造クラックが発生することが知られています。コンクリート面にクラックが発生するとコンクリートの劣化・老化を速めると同時に漏水を発生させます。このため、収縮量の少ないコンクリートによるコンクリート防水といった工法もありますが、一般的には防水工を施します。このように、防水工は、コンクリート構造物の建物と室内環境を守る目的で必要とされています。

防水層の要件

 防水工によって、設けられた防水を防水層といいます。防水層の期待寿命は、建物の期待寿命と同じはずです。建物の期待寿命が明確に設計書の要件として記述されていることはめったにないことですが、RC構造物では、50年程度であろうと考えられます。(保証と期待寿命とは全く異なるものですのでご注意ください)勿論、通常10年間の保障期間(住宅であれば保証の有無に関係なく10年間の瑕疵担保期間があります)の後にも、適切な補修が必要となりますが、はじめから耐久性に優れた防水工法を選定することが重要です。また、屋上を利用する場合には、内装材である壁紙やじゅうたんのように、使いやすさや美観が求められますが、逆に、使うことによって、磨り減りや汚れを生じることから、比較的頻繁にメンテが必要になると理解してください。(通常の保障期間が10年であることは変わりません)

防水の種類

コンクリート建築物の主な防水の種類には、1)アスファルト防水、2)シート防水、3)塗膜防水、などがあります。(建築学会仕様JASS8)

アスファルト防水


 アスファルト防水は、油紙のように水をはじくアスファルトをフェルトにしみ込ませたシート状のアスファルトルーフィングを溶融アスファルトで3〜5枚張り重ねた防水で、最も信頼性が高く、実績も1番多い工法です。防水工事用「アスファルト」と、「ルーフィング」(アスファルトを含浸させた紙や布をシート状に加工したもの)を現場で積層させて、しっかりとした厚い防水皮膜を作り上げます。接着剤ともなる「アスファルト」にも防水性能があること/何度も貼り重ねるので施工中のミスが起こりにくいこと/熱くなると柔らかくなり、冷たくなると硬くなる、という性質で、下地コンクリート躯体の動きやクラックに追従すること、などの特長があります。施工中の煙や臭いの問題が指摘されることもあります。RC造(コンクリート造)、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)などの建物によく使われます。また、防水層の上に押えのコンクリートを打設する「保護工法」に適しているのはアスファルト防水だけです。熱工法、冷工法(常温工法)、冷熱工法、トーチ工法などのさまざまな施工方法があります。溶融アスファルト工事の際に発生する臭気や煙は周辺住民の生活環境を脅かしかねないことから、溶融アスファルトを用いないでプロパンガスバーナーでアスファルトシート表面を直接溶融して貼り付けるトーチ工法が比較的新しい工法として誕生しています。こちらは、シート防水の仲間に分類されています。

シート防水


 シート防水は、厚さ1.2mm〜2.5mm程度のシート状に加工した合成ゴムやプラスチックを用いた防水シートで、建物の屋上を覆う防水です。シート防水は約30年の歴史を持つ防水ですが、建物も近代的な構造やデザインに変化してきたように、シート防水は材質や施工方法の両面で進化してきました。代表的なシート防水には、ゴムシートを用いた防水と塩化ビニル(PVC)シートを用いた防水があります。ゴムシートは加硫ゴムとも呼ばれているもので、ゴム弾性(引っ張ると伸び、放すと元に戻る性質)があるので、伸縮性に富んでいます。このため、動きのあるALCなどの鉄骨構造屋根の防水に適しています。また、EPDMゴムはゴムや樹脂の中で、最も耐候性に優れています。塩化ビニルシートによる防水は、シート相互の接合が溶着(溶剤でシート表面を溶かして接合する方法)や熱融着(熱風溶接機でシート表面を解かして接合する方法)が可能であり、施工性に優れたシート防水です。シートとシートは重ねて、熱や溶剤で溶かして一体化させますが、この重ね部分(ラップ部)のわずかな口空きも漏水に繋がるので、施工には細心の注意が必要です。S造(鉄骨造)でALCパネルを使って建てるビルや住宅などの屋上によく使われます。ほとんどのシート防水工法は、上に押えコンクリートを打設することは不可です。 

塗膜防水

 塗膜防水は、液状の防水剤を塗ったり吹き付けたりすることによって防水皮膜を作る工法です。液状なので、狭い場所や設備基礎回りなどの施工がやりやすいという長所があります。しかし、液体は水平に広がってゆく性質があるので、下地の凸凹によって均一な厚みにならず、薄い部分が弱点となってしまいます。そこで、シート状の補助材料を使って厚みの確保と下地の動きに対応できるような工法上の工夫が必要となります。また、表面(最上層)のトップコートの定期的な塗り替えが必要です。施工性の良さから、改修工事によく採用されます。また、ボート等で知られているFRP(繊維補強プラスチック)を用いた防水も塗膜防水のひとつです。

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