1986年1月、宝文館から刊行された中野嘉一(1907~1998)の評論集。 本書は十年程前に出した『前衛詩運動史の研究』モダニズム詩の系譜(大原新生社刊・昭和50・8)以後に書いたエッセイ・ノートの類をまとめたものである。本書にも私自身の詩的体験を根底に、日本の前衛詩、モダニズム詩の歴史に関わる論考が多く集められている。 Ⅰ「モダニズムの詩人たち」の章は、前衛詩運動の展開を促したバックボーンとみられる季刊誌「詩と詩論」、その系統の「詩法」「新領土」そのほか「VOU」などの詩誌によって活動したモダニズムの詩人たちを対象とし、ほぼ同時代にあった私自身の個人的な感想ないし批判を試みたものである。 …