ドグラ・マグラは夢野久作の長編小説で、構想十年執筆十年という大傑作だ。この本は小説の枠組みにとらわれず論文、演説、詩、歌、映画、漢文などで物語が構成されていて、あまりに奇妙なもんだから日本三大奇書の一つに数えられている。本記事のタイトルの、なんとも禍々しく文字列「キチガイ地獄外道祭文」は、この本の歌の部分だ。この歌は精神医学の専門家・正木博士が精神病と精神病院の実態を暴き、博士の新しい最先端の精神病院を建設する金を集めるために日本全国各地で歌ったものだ。なんとなく話がつかめたところで、二度か三度下の文章音読してほしい。これは歌の最初の部分から引用したものである。 ▼あ――ア。外道祭文キチガイ地…