院もこの勝負のことをお聞きになって、 梅壺へ多くの絵を御寄贈あそばされた。 宮中で一年じゅうにある儀式の中のおもしろいのを 昔の名家が描いて、 延喜《えんぎ》の帝が御自身で説明をお添えになった 古い巻き物のほかに、 御自身の御代《みよ》の宮廷にあった はなやかな儀式などをお描かせになった絵巻には、 斎宮《さいぐう》発足の日の 大極殿《だいごくでん》の別れの御櫛《みぐし》の式は、 御心《みこころ》に沁《し》んで思召されたことなのであったから、 特に構図なども 公茂画伯《きんもちがはく》に詳しくお指図《さしず》をあそばして 製作された非常にりっぱな絵もあった。 沈《じん》の木の透かし彫りの箱に入れ…