谷中散歩を一段落して、千駄木方向へ移動するまえに一服。かつて若気の至りとしか申しようのない会話をずいぶんした喫茶店が、今も健在だ。店内はいく度も模様替えされて、今風になっちゃいるが。 名代の佃煮屋さんと煎餅屋さんは、今も向いあっている。食堂にして喫茶店でも甘味処でもある、花家さんとあづま家さんの両店が隣同士に並ぶという、都内でも珍しかろう風景も、記憶のまゝだった。 しかし記憶なんぞというものはじつに手前勝手にして他愛のないもんだ。バスケ部の先輩と声荒げての大喧嘩となり、一同揃って摘み出されてしまったのが、さて花家さんだったかあづま家さんだったか、はっきり思い出せない。どちらかではあったのだが。…