音で知る季節 内沼 昨朝3月20日 朝。日の出ももう5時40分近くまで早くなってきた 殆ど人の少なくなった水辺に立つと,意外とまだ数百のマガンが飛立って朝焼けの空を遠のいていく 夜の先程も南中近くのオリオン座を横切り,昴をかすめるようにハクチョウの一群が北へ飛んで行った。最後の北帰行のようだ。星空の暗闇の中でも彼らの声は空のかなり高いところから降って来ていることが分かる。彼らの声は輪郭ははっきりしているものの,空に吸い込まれて小さいのだ。星々がほんの一瞬彼らの影で消えてしまう。季節のうつろいをこのようなかすかな音で切実に感じられることは幸せなことだと感じる。そしてまた幾ばくかの雪が消えていって…