賢治は,「業の花びら」の出てくる詩「「三一四〔夜の湿気と風がさびしくいりまじり〕」(1924.10.5)を書いた翌年に「生徒諸君に寄せる」という詩を書いている。未完成の詩である。その詩の〔断章五〕には「 サキノハカ・・・・・来る/それは一つの送られた光線であり/決せられた南の風である」とあり,〔断章六〕には「新らしい時代のダーウヰンよ/更に東洋風静観のキャレンヂャーに載って/銀河系空間の外にも至って/更にも透明に深く正しい地史と/増訂された生物学をわれらに示せ」とあり,〔断章七〕には「新たな時代のマルクスよ/これらの盲目な衝動から動く世界を/素晴しく美しい構成に変へよ」とある(宮沢,1985)…