1948年、東京都生まれ。情報科学研究者。 東京大学工学部計数工学科卒業。株式会社日立製作所に勤務しコンピュータ・システムの研究に従事。この間、スタンフォード大学に客員研究員として留学。1986年同社を退職、明治大学助教授を経て、明治大学教授。現在、東京大学大学院情報学環 ・学際情報学府教授。 著書『秘術としてのAI思考』(筑摩書房)、『AI―人工知能のコンセプト』(講談社)、『文科系のコンピュータ事始』(有斐閣)
「知識社会」とは、「知識が価値を失っていく社会」 私淑する田坂広志先生の言葉だ。 ChatGPTがブームなので、私も少し触ってみた。私の質問の仕方が拙いのもあると思うが、検索の手間が省ける、検索した情報達からサマリする手間が省けるという価値は見いだせたものの、心躍る感動まではしていない。 あたかも人と会話している錯覚に陥るので、 カスタマーサポートとか、答えが決まっていてその回答をするとか、要約サービスとか、そういったたぐいのサービスには、かなりビジネスチャンスがあるのではないかと思う。 私もAIボット+有人対応でカスタマーサポートツールを構築しているが、これが代わりに応えてくれるなら、なんら…
おはようございます。 読書がライフワークになっている 医療業界のコンサルタント ジーネット株式会社の小野勝広です。 未来なんて 誰にもわからないものではあると思いますけど、 ここ3~4年で さらに先が見えなくなっていますね。 賢者は歴史に学び、 愚者は自らの経験に学ぶと言われますが、 まさに先行き不透明な時代である現代は 歴史に学ぶ必要があるんじゃないかと思います。 ただ歴史と言っても 戦国時代や明治維新など 大きな出来事ではなくて、 いやそれも大事なんですけどね 少し前から学ぶこともあるんじゃないでしょうか。 特にネット関連ですと ここ10年、20年に急激に広まったものですし、 その頃にどん…
AI(人工知能)とロボットとの付き合い方について、現代の日本の状況や世界的状況をを踏まえて、多分野の研究者6人が集うことで成立した新時代の倫理観をめぐる論文集。 全体的な印象として倫理は経済効率とは相性がよくないということがすべての人の発言から感じとれるのだが、経済効率的には正しくないが心地よく持続可能な道について気にかけ考える必要性を問うているところに本書の狙いはあるのだろう。 技術の発展を推進しつつ弱肉強食の資本主義の論理の先に予想される展開とは別のありようについて先端的知性がそれぞれ検討しているところが見られる。基本的には幅広い共生を可能にするコモンズの世界への誘導が基調路線となっている…
『絞首台からのレポート』で知られ,ナチスによって処刑されたチェコスロバキアのユリウス・フチーク(Julius Fucik, 1903.2.23-1943.9.8)の 'An die Nachwelt' の中の一文 'Um eines bitte ich: Ihr, die Ihr diese Zeit überlebt, vergesst nicht. Vergesst die Guten nicht und nicht die Schlechten.' と,3枚の切手(SOWJETISCHES EHRENMAL BERLIN-SCHOEHOLZ, MAHN-UND GEDENKSTATTE …
皆さんこんにちは。本日は、西垣通さんの著書「AI原論 神の支配と人間の自由」について考察します。この本は、AI(人工知能)の基本的な理論や概念を解説しており、西垣さんの深い洞察力と広範な知識が詰まっています。西垣さんはエンジニアとしての実務経験と深い理論的知識を組み合わせ、コンピューターの原理をヨーロッパの思想史や宗教史と結びつける独自の視点を提供しています。彼の「基礎情報学」という理論枠組みは、情報技術とその影響を理解するための道筋を示しています。この本は2018年に出版され、その中で西垣さんは約30年のうちにシンギュラリティが訪れると述べています。シンギュラリティとは、人工知能が人間の知能…
見えない借金 日記と言いながら、毎日読んだ新聞や論文を義務感のように紹介するようなクソ面白くない人間にはなりたくないのですが、それを上回るオモロイ記事があったので共有 てか、朝にメモしたこれ以外書くことなかった 大学行って、notion整理したり、論文整理したり、 あ、あと同期が内定貰ってた、普通に良さげなところ貰っててビビったね 〜〜〜 【Deep Insight】「理系か文系か」やめませんか:日本経済新聞 メモ:文理に英語の表記なし 歪な受験戦争で一部教科の切り捨てに好都合で早期化 -— 文系理系で分けるのは、もはや無意味なんじゃねぇのと言う記事 文理で分ける始まりは、富国強兵あたりの頃に…
毎週日曜日は、この一週間(2/12~2/18)に週刊誌や新聞などの書評に取り上げられた旬の本を紹介しています。書評内容については各誌・HPなどをご覧ください。 今週の書評本 *表示凡例◆掲載された媒体: 発行号数 掲載冊数書籍タイトル 著者.編者 出版社 税込価格 書評掲載回数(②回以上のもの) ◆サンデー毎日(今週号はお休み) ◆女性自身 (今週号はお休み) ◆女性セブン「セブンズライブラリー」: 2/29・3/7 号 1 冊森雪之丞自選詩集 感情の配線 森雪之丞 開発社 2,750 ◆週刊現代 (今週号はお休み)◆週刊ポスト(今週号はお休み) ◆週刊新潮「Bookwormの読書万巻」: 2…
岐阜には雪が降った。今日は今季一番の寒気が流れ込んでいる。今朝から積雪。ニュースでは14cmと言っていたが、まぁ、そんなところなんだろう。足がズボッと雪に埋まる。移動はなかなか大変である。明日の圧雪が怖い。 年始から何冊か本を読んだ。その中の1つ『超デジタル世界』に、データ至上主義って言葉が出てきた。データ至上主義。データドリブンを目指す社会の中で、なかなか味わい深い言葉だと思う。エビデンス信仰と言い換えられるかもしれない。データの権力が高まってきていることを、もう少し意識しておくべきなのだろう。●◯。。。... 『超デジタル世界』はかなり薄めの新書ながら、読むのに苦労した。意外と思想的な話が…
はじめに Semiotics 誌への寄稿論文の編集である田中久美子『記号と再帰』(東京大学出版会)を読んだ。 応用記号論という伝統を墨守した真面目な論である。 石田英敬の情報記号論に失望した人々には受けると思う(計算機科学者ではなく仏文学者がなぜ情報記号論を建設できるのかという疑問は至極当然であろう。彼の著作を読めば、その情報学の専門性の低さには絶望する)。 西垣通から推されて書いたらしいが、なんかその実情が停滞していることを表しているというか、なんかなぁという。 情報学環の内輪ということにはなってしまうのかなと。 用いられる情報科学の知識は極めて基礎的であるものの、記号論のプログラム言語への…
・吉行理恵:吉行理恵詩集(現代詩文庫).思潮社,1975.・panpanya:商店街のあゆみ(楽園コミックス).白泉社,2023.・西垣通:思考機械―太古と未来をつなぐ知(ちくま学芸文庫).筑摩書房,1995.・岩田慶治:自分からの自由―からだ・こころ・たましい(講談社現代新書).講談社,1988.・岩田慶治:〈わたし〉とは何だろう―絵で描く自分発見(講談社現代新書).講談社,1996.・加藤直人:メタバース―さよならアトムの時代.集英社,2022.・バーチャル美少女ねむ:メタバース進化論―仮想現実の荒野に芽吹く「解放」と「創造」の新世界.技術評論社,2022.・西垣通:デジタル・ナルシスー情…
本日は、東海大学2022(展学のすすめ)を扱います。
本の感想「青いバラ」仲のりこ(日本文学館) 童話7作品を収めている。西垣通氏が著書「デジタル社会の罠」で推薦していたので読んでみた。このような童話集を手にする機会は滅多にないものだ。清々しく、篤実な生き方が描かれるストーリーなので今の世の中あり様と対比すると、まるで異世界のようにさえ感じてしまう。それだけ現実の方が殺伐になっているということでもある。せめてこういう物語をじっくり読むことで普段は見過ごしてしまっている清涼感にあふれた心性に目を向けたいと思う。
本の感想「超デジタル世界」西垣通(岩波新書) どのような専門的な分野でもその専門性を語る時にはいくつかの違った見解があるものだろう。一般の人たちに分かり易い説明ができているか、信用性があるかも問われる。西垣氏はデジタル世界の解説者として信頼できる専門家の一人だと思う。 この本は専門書ではなく一般向けに書かれているが、数学的な理論に触れているところは難しくて分からなかった。全体的にもスイスイと分かり易く読めるとは言えないのだが、論旨の流れは概ね分かったような気がする。様々な領域の知見を展開しながら、デジタル世界の現状分析をして問題点を明らかにする。例えば、2016年のアメリカ大統領選挙における「…
本の感想「デジタル社会の罠」西垣通(毎日新聞出版) 毎日新聞に連載した記事と書評などをまとめてある。著者は長年コンピューター研究と開発の最前線で活躍してきた。その後、いくつかの大学で情報学の研究と教育に携わっている。速すぎるAI技術の進歩に人はその対応に追いついていけない。その現状にどういう示唆があるなのかを専門家の知見を元に解説している。 「機械翻訳と外国語学習」についてはこう述べる。「一般論としては、コンピューターはそもそも語句の意味を理解できないし文脈も捉えられないのだから、難解な長文の機械翻訳は困難だ、ということになる」とする。昨今はスマートフォンの機能でも機械翻訳を利用できるが、精度…
アリス・リデル 今週号のサンデー毎日の高橋源一郎「これは、アレだな」に 「この新しいコンテンツは『デジタルの国のアリス』といった構造だが、アリスのラビットホールと違って出口がない」と書いてあった。 Newton 2024年1月号 ▶ これによると「共感覚とは、脳の混線」のこと。 五条悟 西垣通(情報学者) ビートルズ「LSD(ルーシー・イン・ザ・スカイ、ウィズ・ダイアモンド)」 1960年代70年代は「セックス・ドラッグ&ロックンロール」が標語で、前衛的で珍しい芸術を創作するためならば、麻薬を肯定する風潮があったのだが、インスリンと同じで体の外部から入れる物質には危険な副作用がある。作った物も…
つぶやく現代の短歌史(1985-2021) 「口語化」する短歌の言葉と心を読みとく作者:大野道夫はる書房Amazon大野道夫『つぶやく現代の短歌史 1985-2021』*1の終章「「口語化」の諸局面とジェンダー、システム化、合理化の問題」。 「コンビニ」の「客としての違和感をうたった」斉藤斎藤の、 「お客さん」「いえ、渡辺です」「渡辺さん、お箸とスプーンおつけしますか」*2という歌が提示される(p.304)。穂村弘「内なるコンビニ的圧力との戦い」という評論のタイトル、また西村曜『コンビニに生まれかわってしまっても』という歌集のタイトルが言及され(ibid.)、その次に言及され、詳しくコメントさ…