血管の内側は、血管内皮という組織で覆われ、血栓ができない仕組みになっている。
しかし、動脈硬化が起こっている部位では、血管壁にコレステロールがたまり、血管の内側を狭くするとともに、動脈硬化の部分が破れると内皮がはがれ落ち、血管が外傷で傷ついたのと同じような状態になる。
傷ついた部分にしだいに血栓ができ、血液がその先に流れなくなるまで血栓が大きくなると血栓症として発症する。
血栓が血流に乗って流れ、その先の血管を詰めてしまうことがあり、これを、塞栓症と呼ぶ。
ここまでの話は、主に動脈で血栓ができる過程。
一方、静脈では、動脈に比べ血液の流れが遅く、血圧も弱いために、血液の流れに滞りができやすくなる。
例えば、手術後に長い間ベッドに寝たままになっている場合など。
エコノミークラス症候群では、飛行機の狭い座席で長時間座ったままの状態が続くことで、血液の流れが滞り、血栓が発生する。
心房細動で心臓の中での血液の流れが悪くなって血栓ができ、それが流れ出て脳梗塞が起こるのもこの例。