一月一日。 内田百閒に小学生のころのお正月の思い出を語った「初日の光」という随筆がある。 百閒は一八八九年(明治二十二年)の生まれで、当時尋常小学校の生徒たちはお正月に登校して「一月一日」(作詞:千家尊福、作曲上 真行)という唱歌を歌った。 「歳の始めのためしとて、終はりなき代の目出度さを、松竹たてて門毎に、祝ふけふこそ楽しけれ」。 新年のおめでたい気分が相まってだろう、ずいぶん変え歌が作られていて、そのひとつに「歳の始めのためしとて、尾張名古屋の大地震、松茸ひつくりかえして大さわぎ、芋を食ふこそ楽しけれ」というのがあった。 これを笑い話で済ませられるとよかったが、きょう起きた能登半島地震を思…