源氏の美は今が盛りであると思われた。 以前は痩せて背丈が高いように見えたが、 今はちょうどいいほどになっていた。 これでこそ貫目のある好男子になられたというものであると 女たちがながめていて、 指貫《さしぬき》の裾《すそ》からも 愛嬌《あいきょう》はこぼれ出るように思った。 解官されて源氏について漂泊《さすら》えた蔵人《くろうど》も また旧《もと》の地位に復《かえ》って、 靫負尉《ゆぎえのじょう》になった上に 今年は五位も得ていたが、 この好青年官人が源氏の太刀《たち》を取りに戸口へ来た時に、 御簾《みす》の中に明石のいるのを察して挨拶をした。 「以前の御厚情を忘れておりませんが、失礼かと存じ…