甲辰年二月十一日。春分。気温摂氏▲0.5/15.8度。晴。神田淡路町(The Gollum)で 散髪済ませ歌舞伎座。開幕5分前で神田志乃多寿司の折詰めパクつき〈寺子屋〉幕見。 菊之助の松王丸。けして彼のニンではない、と思ふ。丁度二年前の三月に国立劇場での盛綱陣屋でも思つたが芝居は上手いのだが、或いは熊谷陣屋の直実とかの重いお役もさう。義経千本桜でも忠信はニンだが権太でも忠盛でもない。どれも彼の義父が得意としたお役。播磨屋のあの舞台を婿に期待するのだが。松嶋屋が盛綱、直実や知盛等を自らのモノにしたやうに役者高齢化の時代にあつて未だ半百前の音羽屋は重い役を演じるには若すぎるのかもしれない。源蔵は愛…