石牟礼道子の小説。
新装版 苦海浄土 (講談社文庫)
近現代の文学は、作者がいて作品がある、というのが一般的である。 しかし、今回紹介する作品は、それとは異なる意味がある。 石牟礼道子氏が著した作品、 『苦海浄土』 は、水俣病の患者たちが本当の語り手だと、石牟礼氏は述べる。 水俣病の患者たちは、言葉を奪われて書くことができない。自分はその秘められた言葉の通路になっただけだと、石牟礼氏は述べられていた。 その『苦海浄土』を深く理解するための一助になりえるのが、NHKブックス100分de名著の 『悲しみのなかの真実 石牟礼道子 苦海浄土』 である。 NHK「100分de名著」ブックス 石牟礼道子 苦海浄土―悲しみのなかの真実 (NHK「100分 de…
読んでいる文献リストを更新する。 ①読んでいる本 ・レヴィ=ストロース、『悲しき熱帯Ⅰ』、中央公論新社、2001年。 ・奥野克巳、『はじめての人類学』、講談社、2023年。 ・ティム・インゴルド、『応答し、つづけよ。』、亜紀書房、2023年。 ・ダナ・ハラウェイ、『伴侶種宣言 犬と人の「重要な他者性」』、以文社。 ②読みたい本 ・アシア・ジェバール、『墓のない女』、藤原書店、2011年。 ・石牟礼道子、『苦海浄土』、河出書房新社、2011年。 ③読み終わった本 ・パウロ・フレイレ、『被抑圧者の教育学』、2018年、亜紀書房。 人類学の本を読み始めた。わくわく!
衆院東京15区補選は事実上「(都)ファ対立民」の対決構図になる可能性が強まる。泉健太には小池百合子への拒絶反応はないだろうが、野田佳彦や岡田克也には強い拒絶反応があるに違いないことに留意されたい - kojitakenの日記 岡田克也*1にとっても、せっかく2016年の参院選で自らの主義主張や思想信条に反する共産党との共闘を部分的に成功させてしのいだのに、その参院選の直後に行われた都知事選で民進党が推した鳥越俊太郎が小池*2に惨敗した責任を問う声が長島昭久*3らの当時の民進党内右派から出始めたのを見て早速ケツをまくった(党代表を投げ出した)一件があったから、小池に対する反感はきわめて強いと思わ…
1970年代に入る前から、水俣病は大きな問題となっていて、ベトナム戦争と同じくらい、連日ニュースで取り上げられていた。四日市、川崎、水俣イコール公害で、煙だらけといった印象しかなかった。 水俣の問題は、煙ではなく、海だった。最初に現実の一端にふれたのはユージン・スミスの写真である。どこで見たのかは覚えていない。いまでも、彼の写真を見ると、当時と全く同じ痛みが胸を覆う。 それからしばらく経って買ったのが石牟礼道子さんの本であった。「苦界浄土」。祈りのようなタイトルに、惹かれた。はじめは、左派系の市民団体の誰かが書いたもの程度にしか思っていなかった。しかし、本を開くとイデオロギーなど微塵もなく、詩…
「阿賀に生きる」という三十年前に撮られたドキュメンタリー映画を観る機会がありました。上映を企画したのは国立市で月に一度上映会を企画している国立映画館というグループです。https://x.com/kunitachieiga/status/1765145024927531153?s=20 そもそもfacebookでこのグループの活動を知ったことがきっかけで、大した予備知識もなく観に行ったのですが、これが大変な映画だったのでご報告します。 前情報として知っていたのは、この映画が水俣病(新潟水俣病)の問題を扱った内容であるという事、そして海外などでも高い評価を受けた作品であるという事くらいでした。な…
自分のためにではなく、期せずして私という人間を知って同じ世界と時代を生きることになった人々のために、自分のできることをする生き方を模索している。それは何かを考えるだけでも退屈ですぐに飽きてしまう私を何がしか働かせることになる。70年生きてきて今も贅沢は出来なくても、好きなように生きることができている。少なくとも感覚的には自由に生きられている。移動の自由がある。働く自由と働かない自由を選択できる。立派に生きようと自分を鼓舞して生きることも、ダメ人間の自分を甘やかして生きることもできる。 毎日ブログを書くように自分に課すことも出来るし、もう飽きたと投げ出すこともできる。眠くなれば昼寝をしたって誰か…
一条真也です。105冊目の「一条真也による一条本紹介」をお届けいたします。『心ゆたかな読書』(現代書林)です。表紙には、開いた本の中から木が生えているイラストが描かれ、「心の森」が表現されています。 『心ゆたかな読書』(現代書林) また、 「ハートフル・ブックス」というサブタイトルがついています。そう、本書は125万部の発行部数を誇る「サンデー新聞」に連載中の「ハートフル・ブックス」で取り上げた150冊を紹介したブックガイドなのです。 本書の帯 帯には、「『論語』から『鬼滅の刃』まで」「万巻の書を読み解いてきた当代一の読み手が、古今東西の150冊を厳選! 心をゆたかにする本たちとの至高の出合い…
少し前のこと。 ジュニア向けの読書指南本を開いたら、懐かしい本、読みたい本、読ませたい本がザクザク・・・という記事を書きました。 そして、中1娘ポジの背伸びしすぎな選本も😆 (案の定ポジが読破することはできなかったけれど、父母それぞれで、ポジも読んだあたりを例に出して話すことはできたのでまず良し) その後、母お薦めの『氷点』はサクッと読み終わったポジ。 早速予約した『続氷点』が三連休に届いたので、ちょっと久しぶりに1人で地元図書館へ。 ついでに見つけた本も借りてきて、👇こんな感じ。 おお、『王妃の帰還』って、柚木麻子さんなのね。 柚木さんの『本屋さんのダイアナ』が、予約して届くまでに時間がかか…
源氏物語の後半の舞台は宇治。宇治平等院は、藤原道長の息子、藤原頼通が、末法の時代を反映させて、別荘を寺に改めた。 大河ドラマの「紫式部」は、セクシー&バイオレンス路線なのだそうだ。そうしないと視聴率を稼げないのだそう。 テレビ番組については関心がないので、どうでもいいのだが、セクシー&バイオレンスでやりたいのであれば、1000年前の世界を題材にするのではなく、現代風のドラマでも作ればすむこと。川端康成や三島由紀夫など、日本文化や日本の美について深く考え抜いていた人たちが、日本の歴史上、最高峰の文学だとみなし、その後の歴史において超えるものがないとする「源氏物語」の背景を歪めてしまうことにならな…
先日地元南浦和のゆとぴやぶっくすにて開催された読書会に参加した。課題本はちょうど一年前に読んだ「急に具合が悪くなる」。この本はだいぶ気に入っていて何回か読み直していたし、ずっと読書会に参加してみたいと思っていたので、よい機会と思い参加させてもらった。 読書会への漠然とした憧れはあったものの、実際どのようにして進行されるのか、どの程度の準備をして臨むべきかといったお作法を身につけていないことが若干不安であった。また自分だけ読解力の低さが露呈したらどうしよう的な不安もあり、しっかりめにメモを用意したり付箋を貼ったりして臨んだ(付箋箇所は結局1度も参照しなかった)。が、会は課題本の提案者の進行のもと…
文学は地球を想像する エコクリティシズムの挑戦 (岩波新書 新赤版 1988) 作者:結城 正美 岩波書店 Amazon エコクリティシズムという学問分野があるのは知りませんでした。文学を環境との係りの観点から分析、考察していくものだそうです。 ソローの「森の生活」から始まって、石牟礼道子の「苦海浄土」やカズオ・イシグロの「クララとおひさま」など、さまざまな作品を人間と環境という切り口から解説していました。 この本で取り上げられた本は、一冊も読んだことがなかったのですが、いくつかの作品を読んでみようという気になりました。 人間は人間だけで存在しているのではなくて、まわりの環境があって存在し得る…
1月の読書メーター読んだ本の数:3読んだページ数:1083ナイス数:14ピギー・スニードを救う話 (John Irving Collection1989-1998)読了日:01月21日 著者:ジョン アーヴィング新装版 苦海浄土 (講談社文庫)の感想読み終えて、本当にすごい読書体験だった……と思ったのだが、ルポルタージュというより「聞き書き風の私小説」ということに吃驚した。どおりで文学的なわけだ。正直自分の中の評価が揺らいでしまったんだが、すごい本なのは確か。「安らかにねむって下さい、などという言葉は、しばしば、生者たちの欺瞞のために使われる。 このとき釜鶴松の死につつあったまなざしは、まさに…
みなさん最首塾世話人の丹波です。表題についてですが、3/27(水)東京大学駒場キャンパスにて、星埜守之さんの最終講義、 「仮面(masque)をめぐって――シュルレアリスム、アラスカ、水俣(仮題)」があります。最首塾には星埜さんと付き合いのある方が少なくないので、こちらに情報を流させていただきます。どうか拡散ご協力ください。星埜さんのご専門は仏文学・仏語圏文学ですが、学生時代の80年代、俳優で水俣に移住された砂田明さんによる一人芝居「天の魚」(※)巡業に同行され、以来、写真家の宮本成美さん(最首塾元世話人)などとも付き合ってこられました。宮本さんの水俣写真集『まだ名付けられていないものへまたは…
副題:娘たちの歳月 著者:梯 久美子 出版社:文藝春秋 2022年10月刊 1,980円(税込) 277P ご購入は、こちらから9人の女性作家の生涯をたどり、それぞれの父親との関わり方に注目して、人生と作品への父の影響を明らかにする評伝集である。著者の梯(かけはし)氏が取りあげた9人の名前と肩書きは、次の通り。 渡辺和子 修道女 齋藤史 歌人 島尾ミホ 作家 石垣りん 詩人 茨木のり子 詩人 田辺聖子 小説家 辺見じゅん 歌人・作家 萩原葉子 小説家・随筆家 石牟礼道子 作家・詩人
共産党員除名 大山県議「排除より包摂を」 田村氏から非難も「後悔ない」(カナロコ) - kojitakenの日記 むしろ田村氏に対する「不当な言いがかり」の方がハラスメントだと思いますし、「排除より包摂」つうなら「埼玉県川口市のクルド人問題(産経が【「移民」と日本人】病院でクルド人「100人」騒ぎ、救急受け入れ5時間半停止 埼玉・川口 - 産経ニュース(2023.7.30)、【「移民」と日本人】<独自>不法滞在のクルド人男性に埼玉県の大野知事が感謝状 難民申請中に100万円寄付 - 産経ニュース(2024.1.22)、 【「移民」と日本人】クルドの祭りに「県の公園貸すな」 音楽が「テロ賛美」指…