製パン改良剤の一つ。
1980年代に発がん性が指摘され、日本における研究では、ラットに対して発がんのイニシエーター(遺伝子そのものに障害を与える作用)、プロモーター(発がんを促進する作用)の両方の作用を有するという結果が報告されている。
そのような安全上の問題が指摘されたことから、日本パン工業会は、厚生省(当時)の要請にもとづき1992年3月より、使用を自主規制していた。
また、国際的な基準としてはFAO/WHOの合同食品添加物専門家委員会(JECFA)は、現在「臭素酸カリウムの小麦粉処理剤としての使用は容認できない」と結論している。
一方、臭素酸カリウムはパンを焼成する過程で熱により分解される性質を持ち、特にふたをして焼く角型の食パンでは分解が進みやすく残留しにくいとされ、ヤマザキを中心とした業界団体では、溶液タイプの製剤を適正量使用した場合には、高感度な分析方法において「検出せず」という結果が示されたとし、山崎パンは、2004年6月、臭素酸カリウムを使用した(角型)食パン*1を首都圏で発売した*2。
山崎製パン社が発表した論文によれば、改良された茨城県衛生研究所が開発したガスクロマトグラフィーによりパン製品を分析したところ、最高200ppbを超える臭素酸カリウムの残存が科学的に確認されている事実自体は山崎製パン社は否定していない。*3
* リスト:リスト::化学物質
*1:商品名は「国産小麦食パン」「サンロイヤル ファインアローマ」
*2:2004年6月の同社プレスリリースでは「順次発売を拡大」としている
*3: 「パン用生地改良剤である臭素酸カリウムの安全使用について」山崎製パン(株)山田雄司(月刊フードケミカル2004-10)http://www.yamazakipan.co.jp/brand/pdf/foodchemical200410.pdf