http://www.wakate-forum.org/data/2001/resume3.php
自然主義とは、人間の心、行動、道徳などに関する事柄も自然現象の一部であり、基本的には自然科学的方法によって解明可能であるとする立場である。したがって、科学と哲学は連続的であり、哲学の特権性は否定されることになる。これに対して反自然主義は、人間的事象は自然現象には還元できない独自の領域であり、哲学的方法による考察が不可欠であると考える。(野家啓一)
→「自然主義の誤謬」
http://db.gakken.co.jp/jiten/sa/207720.htm
前回の「泡鳴五部作」(その1)では1作目『發展』2作目『毒藥を飲む女』を取り上げた。今回はその続きとして3作目『放浪』4作目『斷橋』5作目『憑き物』を取り上げる。 『毒藥を飲む女』は田村義雄が上野駅を出て樺太へ向かうところで終わった。そして『放浪』は次のように始まる。〈樺太で自分の力に餘る不慣れな事業をして、その着手前に友人どもから危ぶまれた通り、まんまと失敗し、殆ど文なしの身になつて、逃げるが如くこそこそと北海道まで歸つて來た田村義雄だ〉。やっぱりね。義雄に金儲けができるはずがないのは本人以外の誰もが知っている。彼が東京を発って樺太に向ったのが明治42年6月2日。そして今8月16日。樺太で何…
岩野泡鳴といえば自然主義を代表する作家の一人。しかし、昨今では自然主義の小説を読む人は少なかろうし、泡鳴など明治文学の研究者か愛好者か、あるいはよほどの暇人でもなければ読まないのではないか。暇人である私は読んでみた。本棚を眺めていたら「泡鳴五部作」という未読の本が目にとまり、なんとなく手に取ったというだけのことであるが、結構おもしろい。 主人公は田村義雄。父が死んで下宿屋を相続したが〈實行刹那主義の哲理を主張して段々文學界に名を知られて来たのであるから、面倒臭い下宿屋などの主人になるのはいやで〉、そちらは妻に任せて、自分は勝手次第な事ができるという思いを抱き、〈自分自身の新らしい發展が自由に出…
世間をにぎわす「おっぱいお触り事件」、弁護派と非難派のSNS攻防いつまで続くんだ。曰く「お触りはダメだが被害者にも一定の責任(※1)はある。」※)語の意味内容は不明です。論者によって異なるのだと思いますが、おそらく因果律の文脈で「責任」を使ってるのかな。もしくはその責任と随伴する「善悪」のことか。これ一般論、酒類販売されるフェスにおいて【普通人の正常な性的羞恥心に反し、いたずらに性欲を興奮または刺激せしめる】と評価しうるパフォーマンスをみずから観衆へ為し、ハイタッチ等接触コミニュケーションのため対象である衆の海へみずからダイブした場合、現実に招来する事故偶発性を常人の思考力(合理的判断能力)で…
昨夜、居酒屋でソール・ライターに関する特番を見ていると、不意に悟るところがあった。彼は芸術家アーティストという意識が希薄だった。むしろ、職人クラフツマンたろうとしていたのではないか。写真家らしく、虚構フィクションを作ろうという意識は皆無だったのではないだろうか。 記者として、写真のごとき小説を書けないだろうか、と夢想する。虚構ではなく、限りなく事実に近い小説である。文学史的にはエミール・ゾラの写実主義、自然主義がそれに当たる。日本の田山花袋も含めていいと思う。ゾラは知らないが、写実主義、自然主義の小説家は新聞記者あがりか、その経験がある人が多いと思われる。最後は私と同じように『聖書』を愛読して…
身体性? 別に批判でもなんでもないですよ? 物語に必要だったから書きました。それだけです。 身体性、心身性については、文学業界じゃよく言われる文句で、 要はちょっと変形して日本に入ってきた「自然主義」とやらが、 日本の文壇ではいつまでもそれなりの力を持っているというだけです。 いわゆる私小説的なやつ。田山花袋的な、中上健次的なやつ。 それでもって僕は阿呆だからそれに影響されているだけです。 僕は阿呆だからなんでも影響されてしまうのです。 でも私小説ってそう何個も書けるものじゃないし、書ける人は逆にすごいけど。 作り込む系の小説も普通にあります。 混ざっているのもあります。 要は創作の方法論がた…
This is the Japanese translation of this site. ポール・ネルソン2023/3/31 14:10 魅力的な記事をご紹介します。アンドレア・ローリー、ヨハネス・イェーガー、スチュアート・A・カウフマンが『Frontiers in Ecology and Evolution』に書いた、「How Organisms Come to Know the World: Fundamental Limits on Artificial General Intelligence」です。
※当然のことながらネタバレを含むので、未視聴の場合には閲覧に注意されたい。 だいぶん古い(2001年)アニメだけれど。 EMOTION the Best 地球少女アルジュナ Director's Edition DVD-BOX 東山麻美 Amazon 当時リアルタイムで視聴していた頃は、それほど印象に残らなかった。なにしろ明確な「敵」と戦う物語ではなく、全体的に暗い展開のアニメであり、ヒロインがいわゆる「ヒロインっぽい」容姿やデザインでもない。そして全体を通して説教臭くて、爽快感がない。あまり名作アニメみたいな話の中で話題に上らないのもこうした理由かもしれない。 ざっくりとした展開は…主人公の…
・島村抱月の「蒲団」評 島村抱月は『「蒲団」評』で言う。 1)従来のきれい事しか言わない小説と比べれば、「芸術品らしくない」この小説はその限界を打破したものとして評価できるが、しかし同時に芸術品らしくないというまさにその点で弊害もある。 2)主人公の妻の描写が不十分であり、主人公と子を抱えた家庭の関係が色濃くは描かれていないので、主人公の倦怠と煩悶がリアリティを欠く。 3)「赤裸々の人間の大胆なる懺悔録」であり、もっぱら醜を書いた(「醜」とはいえ「已みがたい人間の野性の声」だが)というところが画期的だ。 4)人間の醜い本能を理性の光で照らしだし、そうすることで自意識過剰な現代人の性格を露骨に示…
「少女病」(1907)から「蒲団」(1907)へ。ここには作者田山花袋のロマンチシズムからリアリズムへの脱皮が見られ、作家としての成長も見受けられ、同時に恋愛のいわば進化も見られる。ここでは、そういったことについてちょっとばかり筆を滑らせてみよう。 田山花袋は、自らが中年となって(といっても三十代半ばであるが)生活上も文学者としても活力が干からびてくると、若い女との恋愛を願望し、それが同年に発表された「少女病」と「蒲団」で露骨に描かれた。少女と言えば何ら肉欲を連想しないが、蒲団とすれば少しく生々しい。どちらの作品の主人公も生活が惰性に流されるだけで、作家としては大成の見込み薄の、妻子ある中年男…
自然には二つの意味がある。その二つの意味合いは田山花袋の代表作「蒲団」、並びに晩年の好短編「一兵卒」において確認できる。 自然概念について言えば、その意味するところは、一つは生き生きと生きたいとする生の欲望であり、そのために「蒲団」では枯れかかった中年男性は恋愛を望む。恋愛といっても片思いやプラトニック・ラブではよくない。できるだけ生き生きとしたいのであり、そのためには人として持っている精神も肉体もどちらも活性化させたいのであり、だから性交渉を伴う恋愛をしたいのだ。結婚生活はいまや惰性に流れるだけなので、だから不倫願望を抱くのだ。「蒲団」の自然は単なる肉欲に尽きるものではない。 もう一つは痛み…
少数者が、快く映画館で映画を見られるようにして行く。 からだに障害を持った人などの少数者を排除して、多数者だけが快く映画館で映画を見られるのでよいのだろうか。それとも、少数者を包摂した映画館のほうがよりのぞましいのだろうか。 とくにからだに障害を持たないような多数者だけが、映画館で映画を見られればよい。少数者は映画館で映画を見られなくてもよい。多数者を主にするものだ。 少数者は映画館で映画を見られるだけでよしとするべきである。すこしくらい不便なところがあってもがまんするべきだ。ウェブの X(Twitter)ではそうしたつぶやきが言われている。 少数者を包摂しないで排除する映画館があるのだとする…
母ASD&境界知能 父ADHD&ASD ○〇〇ASD 私ADHD優位ASD 私の血 支配のASD 闘争(逃走)のADHD 定住のASD 流浪の ADHD 価値を作るASD 衣食住で事足りる ADHD 二分する世界システム 本能の言語化 宮台すら使ってた発達(障害)理論 構造主義 元妻と同じPJのパンティ 物語への固執(人生の美化) 平気で嘘をつく 詩を書く 詩を書けない状態とは TJ ADHD あなたたちはまるで私の両親のようだ 「意味不明な人たち」 支配とそれに抗う関係性 私を籠絡できなかった 私はあなたと親友までにしかなれない いや親友になる事ができた あなたの物語を作りたい SとMの関係…
前回のプレイ日記はこちら↓ mischwarz.hatenablog.com ※ストーリーのネタバレ含みます。 こんにちは、みくろです。 前回ネザーブレインを倒し、バルダーズ・ゲートを救った主人公一行。 ということで今回はエピローグ部分なんですが、まずラスボス戦後、主人公の今後についての選択があります。 恋人関係にあるキャラクターと将来を話すことでルート分岐するっぽいんだけど(独り身だとどうなるかは未確認)、1周目はハルシンとアスタリオンと公認二股していたので、どちらと行くかみたいな話になりました。 ハルシンはまた森に帰って傷付いた自然の修復に本格的に取り組むらしい。 あとバルダーズ・ゲートの…
マイオカインは、筋肉細胞から分泌される細胞間シグナル分子の総称です。通常、マイオカインは運動や筋肉の収縮によって産生されます。これらの分子は、筋肉と他の組織や臓器との相互作用を調節し、広範な健康効果をもたらすと考えられています。 マイオカインには、さまざまな種類が存在し、それぞれ異なる機能を持っています。一部のマイオカインは、炎症の調節や免疫応答の制御に関与しています。他のマイオカイン は、エネルギー代謝の調節や血糖値の制御に関与しています。また、成長因子や血管新生因子として機能するマイオカインもあります。 マイオカインの健康効果には、以下のようなものがあります。 代謝の向上:一部のマイオカイ…
お土産で頂いたものです。 柚子風味の素朴な味わいです。 甘さも控えめ。 お餅の中にあんこが入っているのではなく、小豆が申し訳無さそうにいくつか入っています。 原材料は国内産の白玉粉、小豆、さとう、寒天、天然柚子です。 包装紙に「健康•自然主義」と記されているのが、よくわかります。 大正時代から造り続けられている和菓子です。 茶房があるようなので、今度立ち寄りたいと思います。
第3章 自然の模倣 – 古代:アリストテレス 自然の中の技術、自然を模倣する技術=神話から古代の技術論 →近代に入ると「自然を支配する技術」へと逆転する。 3-1 プラトンとアリストテレス 3-2 アリストテレスの技術論 3-2-1 手と技術 – 知性の自然性 プロメテウス神話:人間=欠陥動物であり、それを埋めるべく「技術」を使う点が、他の動物とは異なる。 ⇔アリストテレス:人間を動物との連続性の中で捉える。 ≒自然主義(≠還元主義) ≒目的論的自然観 自然的生成物/技術的生成物:前者が後者の「可能性」。後者が前者の「現実性」。 3-2-2 自然物と人工物 アリストテレスの場合、自然物と人工物…
スヌーピーがいたアメリカ: 『ピーナッツ』で読みとく現代史 作者:ブレイク・スコット・ボール 慶應義塾大学出版会 Amazon チャーリー・ブラウンは立場を決めるとき、ひどく悩む。これぞこのキャラクターのいつものユーモアだ。そして、チャーリー・ブラウンにたくさんある、自分の大嫌いなところのひとつでもある。…… 「優柔不断」こそシュルツのイデオロギーなのだ。実際シュルツは、政治に関して一種のカメレオンだった。冷戦期アメリカの政治文化における幅広い中間層のあいだで、右へ左へ変身を遂げたのだ。シュルツは読者にロールシャッハテストのように機能する場面を描くのが巧みだった。物議をかもす論題を提示しつつ、…
ADHDに対するシリアスなビデオゲーム(MOON)の効果:ランダム化臨床試験のプロトコル 二つのフラッシュ強度からのERGを用いた多モーダル時周波数解析と機械学習による自閉症スペクトラム障害と注意欠如多動障害の検出 アンフェタミン一日一回延長放出オプションの注意欠陥多動障害(ADHD)管理に関するレビュー 年次研究レビュー:「そこで、ダンスは - 転機の静止点にある」- 早期発達時の共調整と非調節の動的システムの視点。 若者における重度の精神病理学をスクリーニングするための児童行動チェックリストの有用性に関する物語文献レビュー ADHDの子供と思春期のメチルフェニデートと睡眠障害:2年間の自然…
This is the Japanese translation of this site. スティーブン・ディリー2023/12/6 6:29 表面的には、エミリー・リーブスとチャールズ・ダーウィンはこれ以上ないほど異なっているでしょう。リーブス博士は生化学者で、「Scientific Dissent from Darwinism」のリストに署名しています。彼女の博士号はテキサスA&M大学で、ヴィクトリア朝のイングランドとは大違いです。そして、システム生物学と生化学についての彼女の仕事は、自然に真の目的とデザインがあることの強力な証拠を提供しています。(彼女の仕事の例はこちらで見ることができ…
アフィリエイト広告を利用しています ## ボードレールとは誰か?ボードレールとは、19世紀フランスの詩人で、近代詩の父と呼ばれる人物です。彼は1821年にパリに生まれ、放蕩な生活を送りながら、詩や美術評論などを発表しました。彼の代表作は、1857年に初版が刊行された詩集『悪の華』です。この詩集は、当時の社会や道徳に反抗し、近代人の苦悩や憂鬱や悪を深くうたいました。この詩集は、当局によって風俗壊乱の罪で起訴され、一部の詩が削除されましたが、後に詩人たちに高く評価され、フランス詩に革命をもたらしました。ボードレールはまた、アメリカの作家エドガー・アラン・ポーの翻訳者としても有名です。彼は1867年…
R読書会 2024.03.02【テキスト】『年月日』閻連科、谷川毅訳(白水社)【参加人数】5名(感想提出1名)※オンラインでなく対面形式でした。 <推薦者:参加者A>とても印象に残っていた本。トウモロコシなど身近なものを登場させ、主人公を苦しめている自然を創り上げているのがすごい。この読書会には自分で作品を書いている方が多いので、参考になるのではと思い、推薦させていただいた。E:いつ頃読まれたんですか?A:3年くらい前です。大江健三郎が「すごい想像力」と評しているのを知って手に取った。素晴らしかった。F:著者の作品で最初に読んだのが『年月日』ですか?A:いいえ。『愉楽』『太陽が死んだ日』も読ん…
※この文章は、黄金頭さんへの返信のかたちをとった、私なりの反出生主義についての考えをまとめた文章です※ blog.tinect.jp こんにちは黄金頭さん、p_shirokumaです。拙著『人間はどこまで家畜か: 現代人の精神構造 (ハヤカワ新書)』をお読みくださり、ありがとうございました。今回私は、どうしてもこの本を読んでもらいたいブロガーさん数名におそれながら献本させていただきました。受け取ってくださったうえ、ご見解まで書いてくださり大変うれしかったです。 『人間はどこまで家畜か』を黄金頭さんに献本したかった理由は2つあります。 ひとつは、黄金頭さんが書いたこのブログ記事のおかげで『リベラ…
今年の国立大学の入試問題を解答し、次年度の受験生のヒントにしたいと考えます。 今回は九州大学です。世界史は文学部のみの選択科目で旧帝大の中では最も歴史が浅く、東京大学の問題構成をモデルにしています。 あくまで解答例であって正解ではありません。著作権はぶんぶんにあります。 九州大学は所定のアドレスにメールを送ると「標準解答例」をダウンロードできます。期間限定ですので(5月初旬から一ヶ月ほど)ご入用の方は検索してください。 *解答例作成の方針 受験生と同じく何も見ないで解答する。ただし途中でお茶を飲んだりトイレに行ったりはする(ルール違反) 解答を作ったら、受験生がアクセスできる教科書(実教出版、…
自分はボードレールを、象徴派などの側面において扱うことが主なので、知識にいささか片寄りがあるように思われた。なので、ボードレールに関する研究書をいくつか繙いてみて、把握しておきたいと思ったことを書きとめておく。 ボードレールは、1863年「フィガロ」紙に発表した『現代生活の画家』と題した評論において、「モデルニテ」なる概念を提唱した。当時フランスにおけるロマン派の古典主義に対する反発として、「現代の美」なるものを訴えたのである。古代芸術を模倣するのではなく、現代生活に特有の美を発見しそれを芸術へと昇華せしめるべきという主張だ。ボードレールの言う「モデルニテ」というのは、特定の時代区分を示すので…
劇文学で、ラシーヌの父と子のやり取りほど 感心させられるものはない と作家エドゥアールは云った。 いいかね。芸術は 要するに、普遍的なものなのだよ。・つまり、個別を書きながら 普遍を表現している。 ちょっと 喫煙 よろしいかな。 「どうぞ、遠慮なさらず・・」ソフロニスカは云った。 ところで、今「贋金つかい」という小説の構想を練っている。その小説は 人間性に根ざし、虚構にも富むといった さしづめ、 モリエールで云えば「タルチュフ」ですかな。 「それで、主題は何かしら」 そんなものは とエドゥアールは云った。 ぼくの小説には主題はない。こういってもいい。つまり、主題は 決して 一つではない。・・思…