春が来たというのに、連日雨続きで頭がつかえそうなほど雲が低い。これじゃあせっかく満開の桜も散ってしまうだろう。 叡電に揺られて外を見ていると、ときどき晴れ間がのぞいて壮大な虹がかかったりする。「おっ」と思うと、数分もすればまた灰色。まるで教授の圧政に苦しんだ研究室時代のようだ。 曇天下の桜 春休みの今、私は塾でバイト漬けの日々を送っている。8年前のデジャヴだ。 4月から生物科配属になった。生物科は、昨年度に医学生が実習が始まるからと一斉に退職したため欠員中なのだ。編プロ歴と臨床検査専攻を見込まれ生物科にいる。 生物科は現役科の副塾長、私と同い年の女性正社員・Kさん、私の3人しかいない。 国語科…