このハトはリョコウバト(PASSENGER PIGEON)と呼ばれ、19世紀の北アメリカだけでも、何百億羽という数で棲息していたという。絶滅して、今その姿を見ることはできない。美しく大きかっただけでなく、その肉は脂がのって柔らかく非常に美味であったことが、ハトにとって禍いした。初期は珍しがられて高値を呼び、人は争ってこの鳥を殺した。 ~中略~。 ジョン・ジェイムズ・オーデュポンが描き残してくれた大冊の画集『ザ・バース・オブ・アメリカ』の中の一枚に、一番のリョコウバトの美しい姿がある。 西日の射す窓辺の、私の机の上に開かれたページの、水彩の色も褪めかけた淡淡とした鳥の姿に、私は今見惚れて飽くこと…