本稿は未定稿文語詩「敗れし少年の歌へる」の原稿の余白に書き込まれた「翼を広げた鳥」と「魚」の線画が何であるのかと何のために書いたのかについて考察する。 第1図に「翼を広げた鳥」(A)と「魚」(B)を示す。「翼を広げた鳥」は「さながらきみのことばもて/われをこととひ燃えけるを」の詩句の左側余白に,「魚」は原稿上部の余白に書き込まれている。この鳥の特徴としては頭に耳のようなものが1対付いていることと,足と尾羽のようなものを広げていることである。尾羽は立てているようにも見える。尾羽を立てているのは繁殖期のディスプレイ行動を意味しているのかもしれない。「ミミズク」の様な鳥と思われる。ただ,一つ不可解な…