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禁煙ファシズム

(一般)
きんえんふぁしずむ

禁煙ファシズム(きんえんファシズム)とは、健康増進法に代表される公共の場所の受動喫煙防止措置や禁煙希望者に対する医療面での支援を推進する傾向・運動を一種のファシズムであると、喫煙擁護団体等が唱えている造語。

2003年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校 (UCLA) の研究者ジェームス・エンストローム (James E. Enstrom) とニューヨーク州立大学ストーニーブルック校の準教授ジェフリー・カバット (Geoffrey C. Kabat) により、専門家による査読を経ない英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに発表されたエンストローム論文を根拠として、現在の受動喫煙防止措置を過剰に防御的と見なして唱えられている造語である。

しかしながら、エンストローム論文は、連邦裁判所から「大衆を欺く目的で科学に操作を加えた詐欺行為」とされた問題論文であり、エンストロームがたばこ会社から研究資金を受けており、利害からの中立性に問題があることや、この研究自体に、曝露群の誤分類などの統計上の瑕疵があり、科学的妥当性に問題があることなど、疫学研究として「致命的な欠陥」が発表当初から指摘されていた。
そのため、受動喫煙の影響を評価する最新の諸論文についての総説からも削除されるなど、学界からの評価は低く、専門家からは疑似科学と見なされているものである。

学術的には、受動喫煙は肺疾患および心疾患に関するリスクを増大させるという論文が圧倒的多数を占めており、医学界は受動喫煙は単なる迷惑にとどまらず、健康への深刻な脅威であり、さまざまな疾患を引き起こすと結論付けている。
また、受動喫煙がもたらす健康障害に関しては、タバコ産業から資金提供を受けた一部の科学者等から「科学的根拠が希薄である」との主張が行われていたが、世界保健機構(WHO)が2004年に、英国タバコか健康かに関する科学委員会が2004年に、米国カリフォルニア州環境局が2005年に、米国公衆衛生局長が2006年に発表した詳細な報告書において、受動喫煙が健康障害を引き起こすことが科学的根拠を持って示されており、日本学術会議等からも論争に終止符が打たれたと評価されている。
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-20-t51-4.pdf

これに対し、禁煙ファシズムを唱える喫煙擁護団体等は、エンストローム論文に依拠して受動喫煙の有害性への疑義を唱えるとともに、他の加害行為(自動車走行およびその排気ガス)に対する規制とのバランスを欠くとして、健康増進法を憲法十四条違反の立法であると主張している。
しかしながら、自動車走行や排気ガスは健康増進法の制定以前からより厳格な規制が行われており、飲酒運転や危険運転などは刑事罰の対象とされるとともに、ディーゼル規制等も行われている点を踏まえれば、他者を受動喫煙の危険に晒す公共場所での喫煙の規制が不十分であることは明らかである。

また、喫煙擁護団体等は、喫煙が禁止されるべきかについて、喫煙の健康への悪影響の否定という立場以外にも、価値としての健康の絶対化への批判や、自由主義・個人主義的立場を主張し、防衛的な受動喫煙防止措置に対しても異論を唱えており、ファシズムと健康の強制的推進との間には歴史的に強いかかわりが存在したといった主張を行っているが、呼吸器・循環器に疾患を抱える者は、受動喫煙によって発作や病状の悪化が引き起こされることが明らかであり、公衆の集まる場所での喫煙が行われることで、彼等の社会参画や日常生活は著しく阻害されることになる。
また、受動喫煙の害を意識するなと求められたところで、呼吸器や循環器系疾患は本人が能動的に変えられるものではないのであり、この造語が呼吸器や循環器に疾患を抱え、受動喫煙防止を求める者に対するヘイトスピーチであることは明白である。


この用語・概念について、喫煙擁護論者の一人、小谷野敦氏は以下のような主張を行うとともに、禁煙化に反対する訴訟をおこしたが、その主張は妥当なものとは認められずに棄却されている。

 1970年代に始まった「嫌煙権運動」が1990年頃から米国を中心とした西洋各国で過激化し、「受動喫煙の害」という疑わしい説に基づいて、喫煙者を迫害しようとする動き。日本でも「健康増進法」の施行以後、急速に広まった。各新聞はこのファシズムを一翼となって担い、決して喫煙者その他の批判に答えようとしない。禁煙ファシストはヒステリックであることで知られる。この動きの根底にあるのは、
1、健康に関するマス・ヒステリー
2、特定の集団(喫煙者)を差別・迫害したいという心理
3、多量飲酒、自動車走行など、より害は大きいけれど多数派、富裕層の支持を受けているものは温存しようというもくろみ
4、携帯電話の電磁波のように、害の可能性は言われているが、資本制にとって重要なものを隠蔽するというもくろみ
5、疾病の多くが遺伝的であるという、ヒューマン・ジェノームの解析によって得られた事実から目を逸らさせようとするもくろみ
6、上から規制してもらいたいという、国民の国家依存症
 などがある。

なお、小谷野等の荒唐無稽な主張は、学術的価値の無い疑似科学に依拠するものであり、意見の異なる相手を安易にファシスト扱いするなど語彙の貧困としか言い様がない程に稚拙であるため、非難した相手は元より、社会からも全く相手にされていない。

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