瀬川拓郎氏の『アイヌ学入門』を読んだがアイヌの歴史を文化の交流史として描き出しており、過度な理想化がされていない点で、より現実的なアイヌ像の理解に資する内容だった。 その中で第三章 伝説ー古代ローマからアイヌへーでは驚くべき事実が明らかになったとして以下のように書かれている点が気になった。 「小人には北千島アイヌという実在のモデルがいたこと。北千島アイヌの奇妙な習俗にかんする一種のうわさが、日本の中世説話の影響を受け、十五〜十六世紀にアイヌのあいだで小人伝説として語られるようになったこと。その中世説話の小人伝説は、もとをたどればプリニウスの『博物誌』の記事が中国から日本を経てアイヌに伝わったも…