7 白い看護服を着た一人の若い女性が待合室に小走りで歩いてきた。 「佐藤真尋さんのお母様はいらっしゃいますか?」 「はい、私です」 美和は右手を小さく上げて、立ち上がった。 少し遅れて真由美も立ち上がる。 「あの、私は、これで失礼します・・・」 「え?」 美和は、真由美を振り返る。 真尋を発見した時の様子を美和に話したことで自分の義務を果たしたというかのように、真由美は、 「私は、家に帰ろうと思います」 と言葉を重ねた。 待合室に掛けられた時計は午後23時を回っていた。 「もう遅い時間だけど、電車は大丈夫?」 「病院に、タクシーを呼んでもらおうと思います」 「そう・・・」 美和は両手で、真由美…