お厄年であることから、 はっきりとされない御容体の幾月も続くのをすら 帝は悲しんでおいでになりながら、 そのころにもっとよく御養生をさせ、 熱心に祈祷《きとう》をさせなかったかと 帝は悔やんでおいでになった。 近ごろになってお驚きになったように 急に御快癒《かいゆ》の法などを 行なわせておいでになるのである。 これまでは お弱い方にまた御持病が出たというように解釈して 油断のあったことを源氏も深く歎《なげ》いていた。 尊貴な御身は御病母のもとにも 長くはおとどまりになることができずに 間もなくお帰りになるのであった。 悲しい日であった。 女院は御病苦のためにはかばかしく ものもお言われになれな…