疎外(そがい)とは、人間が作ったもの(商品・貨幣・制度など) が人間自身から離れ、逆に人間を支配する状態、 またそれによって、人間が人間性を失う状態をいう。 疎外 - Wikipedia
【疎外論図式】 ドイツ哲学におけるヘーゲル、フォイエルバッハ、初期マルクス に代表される思考図式。 本来は人間がもっていたはずの本質が、社会関係によって その人間から離れてしまい(外化=疎外)、逆にその人間を 支配するようになる、といった構図のこと。 (波状言論S改p37)
感性的労働の論理としての唯物弁証法 「一つの前提された主体としての人間の現実的な歴史」の創造の論理、これがマルクスの明らかにしようとした論理なのである。つまり、すでに人間となった人間、類的諸力を有する人間が場所において現実的にすなわち感性的人間が対象たる自然に働きかけ、変革し、歴史を現実的に創造する、この論理をマルクスは解明しようとしているのである。いいかえれば、人間を実践主体としてとらえ、その実践の論理を明らかにしようとしたということである。 「類的存在としての自己にたいする人間の現実的な活動的態度、あるいは、一つの現実的な類的存在としての、すなわち人間的存在としての実をしめす彼の活動は、た…
3 変革主体は? 斎藤は労働者を変革の主体としてとらえてはいない。 「二十世紀の福祉国家は、富の再配分を目指したモデルであり、生産関係そのものには手をつけなかった。つまり、企業が上げた利潤を所得税や法人税という形で、社会全体に還元したのである。その裏では、労働組合は、生産力上昇のために資本による「包摂」を受け入れていった。資本に協力することで、再配分のためのパイを増やそうとしたのだ。その代償として、労働者たちの自立性は弱まっていった。資本の包摂を受け入れた労働組合とは対照的に、ワーカーズコープは生産関係そのものを変更することを目指す。労働者たちが、労働の現場に民主主義を持ち込むことで、競争を抑…
www.koyoshobo.co.jp この本は、すごく大事なことが書いてあると思った。 僕から見て、ポイントになるのは「解離」という言葉だ。著者は、家父長制の構造をとっているわれわれの社会では、人間は成長の早い段階でそのシステムへの参入を強制されることになり、そこから苦悩と抵抗、そしてシステムに参入しつつも自分として生きていく為の手段を身に付ける、ということが生じる。この手段というのが、自分の意識や思考を、自分の身体と経験から切り離すということ、つまり「解離」である。 著者が「解離」の分かりやすい例としてあげているのは、テネシー・ウィリアムズの戯曲『欲望という名の電車』の中で或る登場人物が口…
廣松渉とその時代。《疎外論 》から《 物象化論 》へ、あるいは《物的世界観》から《事的世界像》へのゲシュタルト・チェンジ。 私は最初から廣松渉を読んでいたわけではない。小林秀雄や江藤淳、柄谷行人・・・を熟読していた私からみれば、廣松渉のような堅苦しい生硬な文章を書くマルクス主義者が苦手だった。別に、理解できないから苦手だったのではない。私は、廣松渉の哲学論文が難解だと思ったことはない。私が廣松渉を読もうとしなかったのには別の理由があった。私が、廣松渉を読むようになったのは、廣松渉の《カント論》が素晴らしいという話を、大学院時代に聞いたからである。それなら、読んでみようかなと思ったのである。私が…
⬛️廣松渉とその時代。《疎外論 》から《 物象化論 》へ、あるいは《物的世界観》から《事的世界像》へのゲシュタルト・チェンジ。私は最初から廣松渉を読んでいたわけではない。小林秀雄や江藤淳、柄谷行人・・・を熟読していた私からみれば、廣松渉のような堅苦しい生硬な文章を書くマルクス主義者が苦手だった。別に、理解できないから苦手だったのではない。私が、廣松渉を読むようになったのは、廣松渉の《カント論》が素晴らしいという話を、大学院時代に聞いたからである。それなら、読んでみようかなと思ったのである。私が、最初に読んだ廣松渉の論文は、カント論ではなく科学哲学論『科学の危機と認識論』( 紀伊国屋新書 197…
99%のためのマルクス入門 (犀の教室) 作者:田上孝一 晶文社 Amazon 個人的評価★★★★★ 1.ざっくり感想 以前読んだ「これからの社会主義入門」の著者によるマルクス入門本。 22冊目「これからの社会主義入門 環境の世紀における批判的マルクス主義」田上孝一 - ウルソの読書記録 とても分かりやすく、面白かった。 「これからの社会主義入門」読んでなんとなくモヤモヤしてたところがスッキリした! 「共産主義とは、ゲノッセンシャフトリヒなアソシエーションである」(P41) 何言ってんのか良く分からんと思うけど、これらもクリアに理解できるようになる本。 先にこの本読んでから社会主義入門読めば良…
いくつかの手記で構成されている小説という形式のためもあるのだろうが、主人公の男の自分語りがえんえんと続く。理系らしいモノのディテールの対するこだわりと、際限のない論理癖。系統的に読んでいるわけではないから確かには言えないが、安部公房の後期の長編を近づきにくくしている文体が、全開となったような作品。 そのために劇的な場面などはなく、読者の興味をひきそうなストーリーの展開も理屈の海に沈められて、その輪郭も帰趨もはっきりしない。このため、この作品をかつて読んだことがあったかどうか最期まで確証をえられなかった。 研究中の事故による火傷で「顔を失い」、それと同時に他人との交流の経路を失った科学者が、本物…
定時起床。寒い。シリアル、朝刊。 朝、身支度をして自転車で大学へ。寒い寒い。午前中は某授業準備と、某授業。某名誉教授の青年期ヘーゲル疎外論。あのヘーゲルにも青年期があったのだ(さらに言えば、おしめを付けているときもあったのだ)。これでこの授業は今年度は終わり。 お昼、中央購買部に買い出しに行き、ベジラーメンなど。しばらくメールの返事など。 昼下がり、某氏とひさしぶりに吉田山を上りながら歓談。吉田山は知らない道がたくさんある。その後、しばらく某翻訳チェック。終わらぬ。 夕方、一服してから某試問の事後処理的作業など。 夜、帰宅して夕食。その前後もメールを書く作業など。 夜中、少しスイッチスポーツを…
2024年になりました。今年もぽつぽつとではありますが、記事を書いていこうと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。 まずは、昨年の振り返り。昨年2023年に読んだ本(マンガ含む)は157冊。その中でこれは良かったという本を10冊ご紹介します。 DIE WITH ZERO (function(b,c,f,g,a,d,e){b.MoshimoAffiliateObject=a; b[a]=b[a]||function(){arguments.currentScript=c.currentScript ||c.scripts[c.scripts.length-2];(b[a].q=b[a]…
こちらは「読書メーター」の月間まとめページです。 読書後の感想をはじめ、得た学び・気づき、「ぜひ実践したい」と思った事柄を記載しています。(一部のジャンルを除く) 「1冊の本から『実践したいこと』を一つでも見つけたらもうけもの!」自己成長のためのアウトプットにつなげていくよう、能動的な読書を続けていきたいと考えています。 2023年10月の読書メーター読んだ本の数:17 冊読んだページ数:3873 ページ
読書ノート #105, 2023 ■無敵の読解力 (池上 彰・佐藤 優) Takahiro 読書を意味付けて「受験勉強≒読書」から脱却する ※ひとことPOPは書籍からの学び・気づきを想起するための個人的備忘です(^^) 2023.10.18 読了|所有本|2023年 105冊目
マルクス ピーターシンガー/著 重田晃一/訳 ノーブランド品 Amazon 『福祉国家』、『ポピュリズム』、『移民』、『法哲学』に引き続きオックスフォードのVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ第五弾。 1989年発行のこの本はAmazonでも高騰が続いているしほとんどの図書館にないしで入手困難だったが、図書館の相互貸し借りサービスを利用してようやく手に取ることができた。また、原著については2018年に第二版が出版されており、「マルクスは現在でもまだ重要か?」という章が追加されているようだ*1。 わたしはマルクスについては詳しくないし、とくにマルクス…
2023年8月31日(木) 國分功一郎『暇と退屈の倫理学』(新潮文庫, 2021)のまとめ。4〜6章まで。 https://www.amazon.co.jp/dp/4101035415?tag=chiharunosite-22 第4章 暇と退屈の疎外論 必要なものが必要な分しかない状態では人は豊かさを感じられない。必要を超えた支出があって初めて人は豊かさを感じられる。これを「浪費」と呼ぶ。浪費はいつかストップする。 対して「消費」はモノではなく観念や意味を消費する。これはストップしない。消費によって個性を追い求めても満足することはない。つまり消費は常に失敗するようにしむけられている。ボードリヤ…
Ⅲ 1951年に執筆し、1960年に『プロタリア的人間の論理』として発刊されたこの論文と、一体どれほど人たちが主体的に格闘したのであろうか。革命的自覚において定立する「自由の王国」、そのイデーについて、内から衝き動かすもの、原動力、理性的目的について、語った人を、わたしは知らない。それほどまでに「革マル派」「探究派」を語る自称「革命的共産主義者」の歴史的自覚内容は底が浅い。「革マル派」については、冒頭に述べたのでここではくりかえさない。 「探究派」の松代においては― 私は、松代が主張する現代世界の変革主体・歴史創造主体の形成の論理なるものを、現代における労働者の革命的自覚を通り越して、実践主体…
逃走論―スキゾ・キッズの冒険 (ちくま文庫)作者:浅田 彰筑摩書房Amazon単行本は1984年。目次 Ⅰ 逃走する文明(『ブルータス』1983年1月号) ゲイ・サイエンス(『現代思想』1982年11月号) 差異化のパラノイア(『広告批評』1983年3月号) スキゾ・カルチャーの到来(『月刊ペン』1983年4月号) 家族の病/家族という病 エディプス的家族 パラノイア/スキゾフレニー スキゾ・カルチャーの到来 テクノ・ナルシシズムの罠 <対話>ドゥルーズ=ガタリを読む(今村仁司・浅田彰『現代思想』1982年12月号) 資本主義のダイナミズムをつかむ 生成の哲学――弁証法との対決 「諸機械」につ…
" data-en-clipboard="true">「時間」足りないなぁ、と思いませんか? 8時間働いて(通勤時間除く)、家のことをして、7時間以上の睡眠を確保しようとしたら、本も読みたいし、推し活もしたいのに、全然時間ないぞ。子供がいなくてこれなんだから、何かがおかしい。 そんな時間の使い方に疑問を感じたときに考えさせられた3冊です。 " data-en-clipboard="true">モモ 選択した形式でリンクを挿入 キャンセル URLを貼り付けたときにこのウィンドウを開く (function(b,c,f,g,a,d,e){b.MoshimoAffiliateObject=a; b[a…
ヘーゲルと現代思想の臨界―ポストモダンのフクロウたち 作者:岡本 裕一朗 ナカニシヤ出版 Amazon 読んでみたら重要なことが多かったので書き留めました。 未だに誤解されることがあるヘーゲル像の修正に役立つかもしれないと思い、公開します。ちなみに、近年また人気のジュディス・バトラーにもヘーゲルは関係が深いです。バトラーはヘーゲル研究から自分のキャリアを初めたからです。 また、以前読書ノートを書いたジェシカ・ベンジャミンも、ヘーゲルの「主人と奴隷」の部分や相互承認について語っており、今回の本と響き合うところがあるのではないかと思います。 dismal-dusk.hatenablog.com 私…