伝承によれば、長命を全うした猫は妖怪へと姿を変える。20年の歳月を経ると尻尾が分かれ、人間の言葉を話し、人間の姿へと変貌する能力を手にする。人はそれを「猫又」と呼ぶ。 新参者の猫又は、変身術や文字の読み書き、猫又として生き抜くためのあれこれをまだマスターしていない。そんな猫又たちの学び舎である「猫宿」が、江戸城の内部にひそかに存在している。ここで、未熟な猫又たちは、様々なスキルを教える師匠の元、妖怪として一人前になるべく日々勉強に励んでいる。 江戸時代、猫又たちは独自のコミュニティを形成していた。それは「陣地」と呼ばれ、6つの地区に分かれていた。陣地はそれぞれが独特の特徴を持ち、その力関係は微…