実質賃金23ヵ月連続減 「好循環」実現、楽観は禁物だ(2024年4月10日『河北新報』-「社説」) 日本経済は本当に賃金と物価がそろって上昇する「好循環」へと向かっているのか。 今春闘で大企業を中心に高水準の賃上げが相次いだことを受け、岸田文雄首相は「前向きな兆しが出てきた」と強調し、日銀もマイナス金利解除の根拠としたが、国民生活に近い経済の動きはこのところ弱さの方が目立っている。 政府・日銀の見方は、物価高に苦しむ家計から見る風景とは必ずしも一致しない。地域や企業規模・業種などによって異なる実情を注視し、個人消費を冷え込ませない努力が必要だ。 厚生労働省が8日に公表した2月の毎月勤労統計調査…