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熱帯低気圧

(サイエンス)
ねったいていきあつ

tropical cyclone(英)


低気圧の一種で、熱帯の海上で発生する大気の構造。暴風雨で地上に大きな被害をもたらす。風力の強いものはサイクロン(東アジア地域のものは台風、北アメリカ地域のものはハリケーン)と呼ばれる。

温かい海水によって暖められた空気が上昇気流を作り、そこに周囲の暖かい空気も流れ込んで暴風となるもの。温帯低気圧の構造と違い、点対称形で前線を持たない。多量の水分を含んだ上昇気流は高度が上がるにつれて冷やされるが、水分が凝集する際に放つ潜熱によって暖かさが保たれ、非常に高くまで昇って巨大な積乱雲を形成する。

中央の上昇気流に向かって四方から吹き込む風はコリオリの力によって曲げられ(北半球なら右へ)、大きな渦巻き状になる(北半球なら反時計回り)。吹き込む風は中央へ近づくほど遠心力とコリオリの力が強くかかるため一定以上中心に近づくことはできず、中心部は暴風も雲もない「台風の目」となる。

熱帯低気圧は大気を暖めて湿らせる温かい海水(26℃以上)がエネルギー源となるため、赤道付近の海上で夏に発生する。寒流のため海水が温まりにくい南大西洋では原則として発生しない。(2004年に観測史上初めて南大西洋でサイクロンが発生・ブラジルに上陸し大きなニュースになった)

温かい海水が必要とはいえ、熱帯低気圧の構造はコリオリの力の強い高緯度地域ほど安定する。そのため赤道直上では発生しないし、赤道付近で発生しても高緯度地域へ移動しようとする。移動の際は、進行方向東側では移動方向と暴風の方向が一致するため風が強く、西側では移動方向と暴風の方向が逆になるため風が弱くなる。そのためそれぞれ危険半円、可航半円と呼ぶ。危険半円側では、吹き込む風も南(低緯度側)からの温かく湿った空気になるため特に雨が強くなる。
高緯度へ向かうにはまっすぐに北(南)へ進むのではなく、緯度30°付近までは貿易風の影響で西へ、30°付近以降は偏西風の影響で東へ流される。30°付近で大きく向きを変えることになる。
そして、高緯度の冷たい海水によって勢力を弱め、寒気が入り込むことで前線を形成して温帯低気圧へ変化する。

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