昭和60年ごろのこと。 ある大学の講師控え室で、国文学専門のF先生と話していた。 F「のりも君、11月19日は一茶忌だったの知ってますか?」 私「え?一茶ってあの俳人の小林一茶ですか?」 F「そうですよ。芭蕉と蕪村を含めての三俳諧人っていわれるあの一茶が亡くなった日ですよ」 私「へええぇぇ~~~、それは知りませんでした。ところでね先生、あの俳号っていうのはどうやって決めるんですかねぇ?」 F「そりゃ、まぁ、いろいろでしょ。師匠が決めたり自分で決めたりするんでしょうね。一茶の場合は、一椀のお茶は、飲むとすぐなくなってしまう、泡のように消えるっていう、いわば『無常観』を自分の俳号にしたんだって言わ…