大河ドラマで紫式部を主人公に据えた「光る君へ」が放送される2024年は「源氏物語」の年になるのではないかと思われます。フィクションである「源氏物語」の現代語訳や翻案した作品を著した女性作家が多い一方で、「平家物語」は少々影が薄い。待賢門院、美福門院、祇園女御、池禅尼、祇王と祇女、仏御前、横笛、小宰相、巴御前、静御前、二位尼時子、建礼門院と、有名な女性たちも数多く登場するものの、物語の本筋に関わる女性は多くありません。やはり軍記物語であるからなのでしょう。登場人物たちの心情描写が少ないことも影響していそうです。 これまで「女たちの物語」を綴ってきた著者は、「平家物語」を著わすに際して「人物を描き…