民藝美すなわち「用の美」を提唱し、使うことに忠実に作られたものに自ずと生ずる自然で暖かみのある美しさを世に紹介し広めようとする活動。
柳宗悦らを中心に1926年(大正15年)に「日本民藝美術館設立趣意書」が発表されたのが始まりとされ、具体的に行なわれた活動は以下の通り。
また、柳は活動の拠点として日本民藝館を設立、また、運動の趣旨と成果を雑誌「工藝」(雑誌「民藝」の前身) などの出版物にまとめ、発行した。
日本民藝館HP http://www.mingeikan.or.jp/
銀座ざくろでしゃぶしゃぶランチを食す。久しぶりの訪問であるが、年を重ねると実に気持ちのいい接客である。 ざくろの創業者は桂洋二郎という方で、なかなかの方であったようだ。 1924年岡山県生まれで、早稲田大学卒業後1955年にアメリカ大使館前に日本料理店「ざくろ」を開店。その後、「トップス」や「グラナータ」と、飲食の世界で活躍を広げる。この時、グラナータでコックをやっていたのが、イタリアンの巨匠ラ・ベットラ・ダ・オチアイの落合努氏で、イタリアへ修行に行く機会を得て桂氏から本物をめざせと指導を受けていたとのことです。その後、桂氏の急死という事態が発生し、三回忌を経て退職することになる。 一方で、棟…
静岡市の南部へ用事があって、ついでに登呂遺跡周辺を散策してきた。登呂遺跡の敷地内にある芹沢銈介美術館*1に行ってみようと足を伸ばしたところ、先週くらいから1月前半までは休館という。メンテナンスや展示入れ替えのため、少し長めの休館をすると書かれていた。 久しぶりの芹沢銈介美術館が空振りになってしまったのは残念でならない。でも、他の美術館や博物館でもいい。とにかくミュージアム・ショップがある施設に行く必要があって、芹沢銈介の収蔵品は今日でなくてもかまわない。できれば年内に美術館や博物館に行っておきたい事情*2があったのだ。 というわけで他の美術館や博物館を検索してみたのだが、公営・私営を問わず、1…
前回のエントリ⇩ tsubana.hatenablog.com 柳の宗教論 美の法門 おわりに オススメ書籍 おすすめスポット 柳の宗教論 柳は早い時期から宗教や心、精神の問題に興味を持ち、「白樺」でも当初は宗教哲学を中心に執筆していた。宗教哲学は美術論より先に柳の研究テーマであったし、また美術論とあわせて彼の終生のテーマでもあった。 柳自身は、特定の宗教を信じたことは一度もない。しかし、信仰というものを信じていた。何かを一心に、ひたむきに信じる心を美しいものだと思っていた。それは無心に作られた名もなき職人たちの手仕事を愛した、民藝への道と通じるところがあるだろう。 柳の宗教への興味も、西洋文…
日用品で長年大切にしているものは何かと聞かれれば、湯町窯のエッグベイカーがすぐ浮かびます。 こちらはもう20年も前に、デパートの民芸品売り場で一目惚れして購入しました。エッグベイカーという名前が付いていて、一人用の目玉焼きを直火で作れるということでした。 蓋を開けると中には素敵な模様が描かれていて、受け皿の渦巻模様の色合いも優しくて素朴な印象です。 フライパンじゃなくて、こんな陶器で目玉焼きを作るなんて、オシャレでなんと贅沢。日常生活を楽しむ人には素敵な逸品になるだろうなと感じました。 当時からヴィーガンだったので、目玉焼きには縁がないしと一度は諦めて帰りかけたのですが、ぽってりとしたフォーム…
断捨離(だんしゃり)とミニマリズム:「もの」と「こころ」 私は以前(5、6年ほど前)、その頃話題となっていた断捨離という方法論を拙ブログで取り上げたことがありますが、その当時とは受け取り方が違ってきたため、この断捨離と、とても近い意味を持つミニマリズムを、併せて考察しようと思います。 まず、そのブログから、めぼしい点を引いてきます。iirei.hatenablog.com この断捨離という言葉は、ヨガの発想から学んだという「やましたひでこ」さんが発案し、流行語にもなり、あまりの反響に彼女は登録商標したそうです。一種の「掃除術」「片付け術」ではあると思うのですが、やましたさんに言わせると、それに…
板上に咲く原田マハ幻冬舎2024年3月5日 第一刷発行MUNAKATA: Beyond Van Gogh*本作は史実に基づいたフィクションです。 原田マハさんの新刊。 棟方志功(むなかたしこう)の物語。マハさんのお得意分野、画家の人生ノベライズ。棟方志功と言えば、あのごつごつとした版画のおじさん、、、っていう位で、作品は好きだけれど、特にどんな人なのかを興味を持ったことが無く、他に類を見ない作家さんではあるけれど、私にとっては昔のすごい芸術家、ってくらいな知識だった。装丁をみれば、すぐにわかる。あ、棟方志功。結構、好き。 ページをめくると、いきなり目に入るのは、草野心平〈わだばゴッホになる〉抄…
京都国立博物館近くの河井寛次郎記念館にも行ってきた。 民藝運動に関わり、陶芸を中心に数多くの作品を残した河井寛次郎の住居兼仕事場を記念館にした施設だ。 NHKの日曜美術館でしばらく前に取り上げられたせいか、入館者は多かった。 敷地の中には陶芸用の登り窯もあり、玄関からは分からない大きさがある。 多数の陶芸、木工、金工作品が展示されていて、建物・家具も面白い。 中庭に行ったら河井寛次郎記念館の名物猫・えきちゃんがいた。 他の来館者が接近したら縁側から移動し、そこも人が通る場所だったので人が来ない庭へ。 人間を怖がってはいないが、知らない人にあまり構われたくない様子だった。 移動が慌ただしいので食…
こんにちは。経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。 先週は、友人と日本民藝館に行きました。目黒区駒場にあります。私は都心に住んでいますが、目黒駅から先になると、かなりアウェーです。 外も中も素晴らしい建物。 日本民藝館ホームぺージより:「民藝」という新しい美の概念の普及と「美の生活化」を目指す民藝運動の本拠として1926年に思想家の柳 宗悦(1889-1961)らにより企画され、実業家で社会事業家の大原孫三郎をはじめとする多くの賛同者の援助を得て、1936年に開設された。 「古染付と中国工芸」という展示をしていました。食の仕事をしている友人は器にも心を砕いているので「初心に帰れた…
3月に岡山県の倉敷市に初めて行ってきました。お目当ては「大原美術館」と「倉敷民藝館」なのですが、ブラブラと歩いてきたので、写真多めで紹介します。 まずは大原美術館から。駅から10分ほどでしょうか。開館時間の9時過ぎに行ったのに、既に多くの人が来館していました。ここにある「工芸館」を本で読んで知って以来、ずっと来たかったのです。 濱田庄司、バーナード・リーチ、河井寛次郎、棟方志功という「民藝運動」の中心人物による作品が所狭しと展示され、そんなものには目もくれいない他の観光客の中、一人で釘付けになってしまいました。お次は、そこから徒歩1分くらいの距離にある「倉敷民藝館」へ。その道中です。 倉敷民藝…
『デジタルハリウッド大学大学院2023年度成果発表会NEIGHBORS. DHGS the DAY』のアーカイブページを見ていて、デジタルハリウッドの杉山知之 学長が、「高度情報民藝運動」というステートメントを出していることを知りました。 検索してみると、2020年夏にデジタルハリウッド大学大学院の広報パンフレットから転載されているnoteの記事「目指すのは、『高度情報民藝運動』」を見つけました。そのなかにあった一節を紹介したいと思います。 物事を的確に捉え、俯瞰し、最善の解決策を見出すためには、小手先のデジタルコミュニケーション力ではなく、知の源泉となるリベラルアーツ(教養)が必要なのです。…
2020年9月19日発行 表紙裏「特別な人のための特別な道具ではない、市井の人々が使い込むことによって、なお美しさをます朝鮮の白磁・木工。その美を見出し広く世に伝えた浅川巧の功績は、今も韓国・朝鮮の人々に語り伝えられる-。」 目次 Ⅰ 芽吹き 自然の豊かさを愛する祖父の下で幼少期を過ごした浅川巧。農林学校を卒業し営林署に勤めたが、兄伯教と母が暮らしている朝鮮に渡ることを決心する。 Ⅱ 成育 朝鮮の人々の生活に溶けこみ、植林事業の職を得、また朝鮮の工芸に魅了される日々を送りながらも、一方では、日本の朝鮮に対する統治や差別の現実を思い知らされる。柳宗悦との出会いから、朝鮮民族美術館の設立に動き出す…
はい完了。インドの古い真ッ二つブッ壊れちゃんの修理が終わりました。カッコいいでしょ? アルダッロ、アルダッロと、糞味噌に文言を垂れといて未完成じゃ格好つかないもんな。ネックを力学的に固定しましたから、強く張った弦が引き倒す心配もまずありません。諸国民藝ご紹介で名高い[東京かんかん] https://t.co/LXJj1ZJ6X3 様より賜った、インド擦弦楽器「サーリンダー」。大変古く、真っ二つに大破した状態で授かりましたのを当方で改造修理、終えたてほやほや音映像です。歌を忘れて幾年月…日本のキチガイ職人の手に渡り、再び歌を取り戻しました次第。 pic.twitter.com/5NhSB19NG…
民藝とは 民藝とは、名もなき職人の手によって生み出された、日常の生活道具のことです。民藝の美しさは、その素朴さや温かみ、そして使いやすさの中にあります。民藝は、論理や合理性よりも、身体性や感覚を重視しています。それは、民藝が、人々の生活に根ざしたものであるからです。民藝は、人々の生活を豊かにし、人々の心を癒す力を持っています。 民藝の定義
私的3連休の初日かつ天気が良いという事で出掛けて来た。 アサヒグループ大山崎山荘美術館 ~藤田嗣治 心の旅路をたどるー手紙と手しごとを手がかりに~ 1月22日のブログに「近いうちに行ってみよう」と記しながらやっと実現。 読者登録しているブロガーさんの記事を読んでいなければもっと先送りしていたかも知れないけど、藤田嗣治画伯の展示は明日まで。もう今日しかないでしょ。 yahoo乗換案内で最安のルートを選ぶ。他の最速ルートよりも120円安いだけだけど。それが時間の無駄使いをする原因となってしまった。 JR山崎駅着のルートではなく阪急大山崎駅着を選んだのだけど、大阪駅及び梅田でちと迷ってしまい、乗る予…
柚木沙弥郎(ゆのき・さみろう)さんが101歳で1月31日にうっ血性心不全で永眠されました。 2023年には東京・日本民藝館にて「生誕100年柚木沙弥郎展」を開催されるなど意欲的に活動されていました。 どこかで目にしたことある人も多いのではないかな。 例えば絵本「ぎったんこ ばったんこ」 ぎったんこ ばったんこ (0.1.2.えほん) 作者:柚木 沙弥郎 株式会社 福音館書店 Amazon 染色 柚木沙弥郎の染色 もようと色彩 日本民藝館所蔵作品集 (単行本) 作者:柚木 沙弥郎 筑摩書房 Amazon 先日、雑誌ブルータスの記事にて、 「“あなたにぞっこん惚れている”とかね。 いいにつけ悪いに…
\ わりと反応あるだろ? / そりゃまあ、あるし、有難いけどもさぁ…X(旧ツイッター)、参加して1ヶ月経ちましたが、やっぱこりゃ危ねぇ装置だわいや、 総勢が日常リポーター役を担い合っているような使命感覚でユーザーを鈍麻させ、 矢継ぎ早の情報量に依存させる構造をしている。程々にしておこう。 ツイートに忙しいあまりサーランピーを書かなくなる事態はありえない。ブログの女王うんぬん皆こぞって書いていたウェブ日記の体裁がまるで衰退した理由、 乗り合いや待ち合いに誰もが四六時中スマホを覗き込んでやまない理由、 もう長文を読めない書けない思考できない人が急増した理由が、だいぶ解った気がする。 そりゃそうなる…
コミュニティ・マガジン『イコール』(橘川幸夫編集長)のゼロ号が発刊された。「時代の最前線を個人の視点で語るメディア情報誌」。資金なし、組織なしで、着手から半年で新雑誌が刊行できた。これは革命だ。カラー、128ページ、A4版、という本格版。3000部。 イコール0号 (季刊) メタブレーン Amazon この雑誌には50人ほどのコミュニティのメンバーが登場する。8割は私の知り合いだ。ここ数年、橘川ワールドにどっぷり浸かっていることをあたらめて感じることとなった。 日本列島のあちこちの、時代の最前線の熱気とうごめきの姿を垣間見ることができる。時代の最先端で活躍する著名人から、地域の最前線で活動する…
皆さんは玉造温泉に行かれたことありますか? 旅行の目的にもされる温泉が楽しめるスポットであり、周辺には魅力的なスポットがたくさんあるんですよ。 今回は【玉造温泉周辺を観光しよう!おすすめのスポット】についてご紹介していきます。 風情ある街並みと温泉が魅力的ですので、ぜひ一度観光めぐりをされてはいかがでしょうか。 玉造温泉の魅力について! 玉造温泉のシンボルになっている写真スポット!【勾玉橋】 アクセス方法 源泉を持ち帰ることができる!【湯薬師広場 たらい湯】 アクセス方法 縁結びにご利益がある神社!【玉作湯神社】 アクセス方法 日頃の疲れを癒してくれる足湯が魅力的!【姫神広場】 アクセス方法 …
隈研吾は好きではない。その作品は、無理に木材などを使用しているような感じがするし、彼自身にも権威主義的な臭いを感じる。それで、本書もそうした偏見を持って読み始めた。 「日本の建築」というタイトルだが、対象とするのは明治以降の日本建築。タウトが発見したと言われる桂離宮から、それに先んじた伊東忠太の反逆など、西欧建築を中心に始まった建築教育から日本的な建築が見直され、また模索されていった状況を、建築家の眼を通して論じていく。 タウトの次はフランク・ロイド・ライトを経て、藤井厚二と堀口捨巳を、早過ぎた「折衷」建築家として高く評価する。ここで、隈は6人の「折衷」建築家の名前を挙げる。藤井、堀口の二人の…
よろコンです。 今更ではありますが、昨年行った下野(栃木)~会津の旅を記します。 今回は旅の初日。日本遺産「かさましこ」です。 japan-heritage.bunka.go.jp 古代より焼き物でつながりのあった茨城県笠間市と栃木県益子町 江戸時代には18世紀後半に笠間焼が、そこから学んで19世紀後半には益子焼が生まれたとか。(笠間焼がお兄さん、益子焼が弟さんの関係) その後、益子は昭和初期の民藝運動でも活躍した人間国宝・濱田庄司が窯を設け発展。一方の笠間は戦後、窯業の存続が危ぶまれるほどになるも県が窯業指導所を設立し、再び陶芸の町として歩んでいます。 今回は陶芸好きな我が家の隊長(=奥様)…