いつの世も部下と上司の関係は面倒なものである。武家の世であってもそうは違いがないのではなかろうか。江戸期各藩の経営(責任者)は名目的には藩主という事になろうが実質的には家老が担って来た。それでも明治維新で幕藩体制が終了するまで270年間、今で言う創業者一族(藩主)の経営体であった訳である。綻びが生じない方がおかしい。無論、その上位で幕府が目を光らせていた訳で藩主の独断や苛政への抑制装置が無かった訳ではない。改易されないことが経営の至上命題であった。 一方、参勤交代で藩主は隔年で一年の長期出張、地元不在となる。経営は国家老が一身に担わざるを得ない。これが実質的な経営者である。ただ、藩主同様に世襲…