封切り二日目。 席数155の【シアター1】の入りは五割ほど。 愛しているハズの妻の浮気を知っても、怒りや嫉妬の感情が湧いて来ない自分に戸惑う男は〔ドライブ・マイ・カー〕でも描かれたコトの発端。 かと言って、意趣返しに自身も浮気に走るでもなく、恬淡とした心の内にただ戸惑うばかり。 今時らしいモチーフではあるものの、実際には昔からある出来事なのかもしれない。 本作では、三組のカップルの関係性が描かれ、それは蜘蛛の巣に張り巡らされた糸の様に粘っこく各々を捉え離さない。 静かな筆致の中に男女の愛情の本質と共に暮らすことの意味を軟らかく語りきる。 『市川茂巳(稲垣吾郎)』は新人賞を獲り、将来を嘱望された…