旅のガイドブックである。ただし「負の記憶を巡るダークツーリズム」という副題からわかるように、普通の旅行ガイドではなく、戦争、災害、差別など、悲劇の舞台となった地を巡るガイドだ。僕もテレビのニュースか何かで、こういうツアーをしている人を見たことがある。アウシュビッツや原爆ドームを巡っていたっけ。今、注目されているツアーの一形態らしい。したがって、別に「不謹慎」と言うほどのこともない。通常とはちょっと違った観光記、と言う感じか。 本書は全体を5つに分け、それぞれ以下のようなテーマが設定され、その下に各所の観光記(と言うよりルポルタージュ)が収録されている。 Ⅰ 天災・人災の記憶 Ⅱ 喪失する産業の…