エッセイ「増村保造論 肉声とどろく収縮する空間」 増村保造の映画をすべて見たことはないにせよ、『くちづけ』(1957)、『青空娘』(1957)、『巨人と玩具』(1958)、『最高殊勲夫人』(1959)、『からっ風野郎』(1960)と見ていくうちに、カメラがだんだんと動きをとめ、芝居の納め方も人物が引きの絵で溝口健二的にあらゆる人物が蠢いている様相から、『妻は告白する』(1961)である種の混濁をみせたのちに、『黒の試走車』(1962)、『黒の超特急』(1964)、『卍』(1964)、『兵隊やくざ』(1965)、『赤い天使』(1966)、『陸軍中野学校』(1966)、『華岡青洲の妻』(1967)…