序文・公家vs幕府 堀口尚次 廷臣八十八卿(きょう)列参事件は、安政5年に日米修好通商条約締結の勅許打診を巡って発生した、公家による抗議行動事件である。 日米修好通商条約締結にあたり、幕府は水戸藩を中心とした攘夷論を抑えるために孝明天皇の勅許を得ることにし、老中・堀田正睦(まさよし)が参内することとなった。しかし安政5年3月12日に関白・九条尚忠が朝廷に条約の議案を提出したところ、堂上(どうじょう)公家〈上級公家〉137家のうち、岩倉具視や中山忠能(ただやす)ら合計88名が条約案の撤回を求めて抗議の座り込みを行った。これに続いて、官務・壬生輔世と出納・平田職修より地下官人〈下級公家〉97名によ…