『博奕のアンソロジー』宮内悠介リクエスト!(光文社文庫) 編者リクエストによる書き下ろしアンソロジー・シリーズ第2期の1冊。 「獅子の町の夜」梓崎優(2018)★★★☆☆ ――仕事で訪れたシンガポールで、僕はバカンス中の老夫妻に出会った。シンガポールではポイ捨ては罰金だという話になって、老人が「きれいなのは町だけじゃない。人間もさ。ここでは賄賂は大罪だ。エリート主義の賜物だ、集団というのはエリートが管理して初めて正しく機能する」。午後になって夫人の方と再会した。「あの人はカジノに行ってるの」「得意なんですか」「見るだけ」。僕らは夕食を一緒に取ることにした。「私も賭けをしてみようかしら。デザート…