日記の中で文学性の濃いもの。紀行・回顧録・自叙伝の類をも含み、随筆文学と並ぶ自照文学の一種。「土左日記」を祖とし、「蜻蛉日記」「紫式部日記」「更級日記」など平安女流の作品、鎌倉時代の阿仏尼の「うたたね」「十六夜日記」や飛鳥井雅有の日記、後深草院二条の「とはずがたり」から南北朝初期の「竹むきが記」までの範囲をさすことが多い。
飛行船と万年筆から『ツェッペリン飛行船と黙想』という本にいきあたった。 krokovski1868.hatenablog.com krokovski1868.hatenablog.com はずかしながら、上林暁という作家を知らなかった。どうも文学は敷居がたかくて食指がうごかない。 濃淡でいえばあきらかに淡のほうのひとで、適度な表現で簡潔に視覚的な描写をする。語彙が多彩で、つかう分量がちょうどいい。一見、なんの変哲もない文章なのだけれど、緻密に練られた結果としてそうなっているのが伝わる。ことばの抽斗をふやす努力を10年単位で継続し、かつ文に対する美意識を磨きつづけないと、こうはならないのではない…
日記の面白さとは日記文学といえば古いものでは『土佐日記』だろうか。作者の紀貫之は女になりすまし土佐日記というブログ(!)を全文ひらかなで書いた。名作と言われる土佐日記を読んでいると、紀貫之はときどき馬脚(男)を露している(それも愛嬌)。いくら名作だと言われても わたしにとっては、紀貫之は日記より歌がいい。少しだけ日記の内容を紹介すると… 四、五年にわたる国司の任期を終えた紀貫之は高知から都へ帰ってくる。今なら半日、せいぜい一日もあれば帰京できるだろうが、当時は船で大阪湾から淀川・桂川をさかのぼり55日もかかっている。悪天候に見舞われたり、海賊の心配をしたり大変だったみたいだ。 真昼間に都に入る…
2023年はや10日以上が過ぎて、何となく時間の波に乗り切れてない自分がいてる。無理に乗る必要もないのに乗ろうと、もがいてる姿は他人からみたら滑稽なんだろうな。 去年からの仕事のモヤモヤとストレス。いっその事ぶち壊したくなる。忖度して仕事する気もない。嫌いなもんは嫌い。これで損をしようが、敵が増えようが構わない。八方美人の八方塞がりな状況よりは随分ましだとは思う。こんな生き方あってもええよな。 小言や他人の文句。ああ言えばこう言う。楽しくない生き方は嫌なだけ。一回だろうが二回だろうが、今生きてるこの時間は楽しく笑って過ごしたい。どうしてあんなに他人の事が気になるんやろう。不思議。自分の中で、そ…
書くことで脳内がスッキリすることもあれば、逆に余計グチャグチャになる事もある。分かってるのにやめれない、中毒者みたいな状況に身を置いてしまう悪い癖がある。考えても仕方ないのに、考えてしまい、どん底まで堕ちる事もやめれない。スッキリしたいのに、余計縺れて解けない糸のように心が絡まってしまい、泣くに泣けない夜。何度も経験したのに、結末もだいたい想像出来るのに。それでも懲りずに手を伸ばし開くページ。救いなどどこにもない。自虐的だと笑えればまだ良いが、笑いなど微塵もない。最低な瞬間。それでも世界は美しいと思いますか?こんな世界を愛ますか?自分の住む世界など猫の額くらいのもんだと思って自覚してるつもりだ…
久しぶりに更新。生きてます。どうにか何とか日々過ごしてます。そろそろ年末モードが漂いはじめ、クリスマスと年末が同居する異様な時期。どこかソワソワするような、流されているような。とにかく忙しない。仕事柄、季節のイベントなどは迅速に対応しないといけないけど。実は11月からのドタバタが大嫌いなんです。もっとゆっくり毎日を過ごしたい人には居心地が悪い。日々同じとは言わないけど、忙しい雰囲気がどうもしっくりこない。もっとスローでいいじゃないか。年末などに囚われず、いつもの日々でいいじゃないか。あきまへんか?そんなこんなで年末へのスピードが上がっていく。クリスマスが過ぎれば一気に。はぁ気が重い。嫌いな季節…
1人世界の車窓から 今日も1人電車に揺られ、市内の会議室まで。今回は何故だか行く気が全くしない。前回は1人で電車に乗って市内に行くのが初めてだったし、楽しかった。終わりに本屋行くのもご褒美感覚で。本屋に行くのは今回も行くけど。ご褒美。電車の匂いが懐かしくもあり、不快でもある。好きにはなれない。幼少期の新幹線に乗り祖母の家に行くのを思い出す。オカンと離れる不安と新幹線の匂いで気分が悪くなるダブルパンチ。そんな記憶忘れてたはずなのに、思い出された。1時間の小旅行。会議室の話し合い。空気が重いし、役員になるなんて益々気が重い。来年は抜けさせて貰えるだろうか。2年は続けないといけないと噂で聞いたけど。…
採り上げるのは一つの事例だけなのですが、それを深く検討していくと、どういうわけか検討に加わっている別のカウンセラーの別のカウンセリングにも役に立つものが得られるという不思議な方法です。これを行なうときは、起こったことを途中の段階でまとめたりせず、何が起こったかできるだけそのまま提示することが重要です。なぜかというと、まとめた人が重要だと思いもしなかったところに重要なことが含まれている可能性があるからです。 これはカウンセリングの世界では一般的に行なわれていることなのですが、私は、あるときふとこの方法は何かに似ているな、と思いました。ある長い道のりのなかで起きたことを何が重要で何がそうでないかを…
久しぶりにメモ帳を開いた。いつもメモ帳に思いつくままその日の出来事を殴り書きしてた。しかし、いつの間にか日々の忙しさに流されメモ帳を開く事すらしなくなってた。忙殺の日々。 台風から一夜明け。安堵感と共に感じる疲労感。疲労感の方が年々増してきている。安堵するとへたり込みそうになるから。今回もヒヤヒヤしながら過ごした時間。ついに引越しを決意した夜。さて物件探し!しかし、これまた問題が。田舎は物件の数が少ない。空き家は多いがもう一軒家は懲り懲りなんで。この先のことを考えると賃貸アパートが楽でいいかな。ついでに断捨離も出来るし。 大型台風が来るたび、直撃コースと聞くたび。床上へ上がる荷物。その都度レコ…
ずいぶん以前に、ミサキ(ミは接頭語)のサキ、あるいはサクという言葉には、目の前でどんどん展開していく景色、新しく開けていく状況、というような意味がある、と何かで読んだことがある。咲くにしても、裂く、にしても。大地が裂けて、新しい芽吹きが展開するような、そういう変化に富んだ先端性のようなもの。目的のために押し進められる力。 さきへ、さきへと岬の先端まで辿り着いて、鳥ならば飛べもしよう。魚ならば泳ぎもできよう、けれど人は、そこからどこを目指すのか。岬に辿り着いた人は、一様にしばらく声もなく呆然と海の彼方を眺める。 梨木香歩『鳥と雲と薬草袋/風と双眼鏡、膝掛け毛布』(新潮文庫)より 鳥と雲と薬草袋/…
今1人で電車に乗ってる。仕事で。 こっちに移住してから初めての1人電車。 少しソワソワ。しかしこれからの会議の事を考えると気が重い。 帰りは市内の大きい本屋に寄って帰れる!これが1番の楽しみ。 1時間の小旅行。小旅行にもならんかな。 車から電車に変えるだけで1日こんなにも気分が違うのかと痛感してる。 明日は明日で違う店舗へ応援。帰りはかなり遅くなる。 目まぐるしい1週間。たまにはいいか。
過ぎし世に降る雪には 必ず三味線の音色が伝えるような 哀愁と哀憐とが感じられた。永井荷風。 荷風の『断腸亭日乗』は将来、間違いなく国宝に指定されるだろう。 そのぐらい日記文学の傑作だと思う。 美文、名文の誉高く、終戦の日、谷崎潤一郎夫妻と別れ汽車に乗る。 「午前十一時二十分発の車に乗る・・・新見駅にて乗換をなし、出発の際谷崎夫人の贈られし弁当を食す、白米のむすびに昆布佃煮及牛肉を添へたり、欣喜措く能はず、食後うとうとと居眠りする中山間の小駅幾箇所を過ぎ、早くも西総社また倉敷の停留所をも後にしたり、農家の庭に夾竹桃の花咲き稲田の間に蓮華の開くを見る、午後二時過岡山の駅に安着す、焼跡の町の水道にて…
読んだ本 フィリップ・ラクー=ラバルト『文学的絶対:ドイツ・ロマン主義の文学理論』法政大学出版局 (2023) 宮台真司『14歳からの社会学:これからの社会を生きる君に』ちくま文庫 (2013) 高島鈴『布団の中から蜂起せよーアナーカ・フェミニズムのための断章』人文書院 (2022) 仲正昌樹『人はなぜ「自由」から逃走するのか:エーリヒ・フロムとともに考える』KKベストセラーズ (2020) D.パーフィット『理由と人格:非人格性の倫理へ』勁草書房 (1998) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 『文学的絶対:ドイツ・ロマン主義の文学理論』 …
No.3811(再)【今日の1冊】人の行動は様々だ「銀座旅日記」 作家や文化人の日記が好きだ。人の秘密が知りたい、と言うよりも、行動と食べに行った店、読んだ書籍等に興味があるからだ。意外に作家や文化人の日記は多く本になっており<日記文学>と呼ばれている。 おれも高校時代から現在まで日記を書いており、それを読み返し、過去の欠点や失敗等に気付くのはこれからの人生に良いことだ。作家で翻訳家の常盤新平の「銀座旅日記」はいい。雑誌ニューヨーカーの記事に感動し、銀座の老舗の味に舌鼓を打ち、競馬に負けてへこみ、老いた自分に恥じる。実に人間的な日記だ。素晴らしい。 先日、ブックマークしている過去のインターネッ…
平安時代について断片的な知識しかなかったので、 平安時代の出来事を年表にまとめた。 参考 平安前期 平安中期 平安後期 平安時代の文化 悪霊と祈祷の時代 平安時代の出来事 平安前期の出来事 781年 (天応元年) 桓武天皇 即位 794年 (延暦13年) 平安京に遷都 800年(延暦19年) 富士山が噴火 (延暦の大噴火) (805年 (延暦24年) 最澄 が 比叡山延暦寺 を創建 806年 (大同元年) 平城天皇 即位 806年 (大同元年) 空海が 高野山金剛峯寺 を創建 807年 (大同2年) 伊予親王の変 809年 (大同4年)(809年) 嵯峨天皇 即位 810年 (大同5年) 薬子…
2024/02/19 Mon. 履歴書とエントリーシートを書かないといけないけど、その先に面接があるという現実に向き合いたくなくて後回しにしている。この仕事に就けたら本当に嬉しいけど、緊張でしどろもどろにならないはずのない面接試験と、空白期間だらけの履歴書をもってして自分が採用されるとは到底思えない。駄目で元々とは言っていても、駄目だったらやっぱり相当落ち込むだろうな。 『ティンダー・レモンケーキ・エフェクト』を読み終えた。男女の恋愛ものという普段読まないタイプの作品かつ馴染みのない価値観や生活にふれて、とても新鮮に感じた。「だれかと話したい気分」というものがあることに驚いたし、作者が次々に色…
更科日記 菅原孝標女 江國香織訳 川出文庫 600円(税別) 河出書房の古典新訳コレクションです。毎月続々と刊行中です。 日記文学です。 平安時代の旅はワイルド。 どこかに宿はないかしら?と民家を借り(え??)、家人は外出中のため家に残っていた使用人たちは見知らぬ人々が寝泊まりするので鍋などを盗まれないかと寝ずに番を・・・ すごい話だな、とかすかに記憶が残っていたのですが・・・ (確か古文の問題をといていて出てきた話・・・) 『更科日記』でした。 ☆☆☆☆☆ 『更級日記』は1020年~1059年の事が回想形式で記載されている日記です。 源氏物語を読みたくて・・・の少女時代の印象が強いのですが、…
2024年3月末発行(4月10日ごろ発売)の新刊を紹介します。 『百鬼夜行する中世文学:作品講読入門』 畑中智子〔代表編者〕、中前正志〔編者〕、川渕亮子〔編者〕、高重幸枝〔コラム〕、神保尚子〔イラスト〕鬼尽くしの中世文学講座。魑魅魍魎が跋扈する妖(あやかし)の世界へようこそ。 中世文学を学びたいけれど、何から始めればいいのかわからない。そんな人にぴったりの作品講読入門書。なんとテーマは「鬼」! 中世期に跳梁跋扈、大活躍した「鬼」という存在を通して、当時の人々の心情に触れ、感動や共感、涙や笑いに溢れた中世文学の魅力に迫ります。取り上げた作品の解説はもちろん、鬼にまつわるコラムや鬼出没マップ、おま…
今回の一葉しりとり。前回のジャンル“語学・文学”は「土佐日記」でした。女性の文体で書かれた、紀貫之さんの日記文学ですね。 今日は「土佐日記」の「き」から、ジャンル“自然科学”でこんな感じで~
読んだ本 モーリス・ブランショ『文学空間』現代思潮新社 (2020) 小室直樹『「天皇」の原理』徳間書店 (2023) 岡本太郎『今日の芸術 時代を創造するものは誰か 新装版』光文社文庫 (2022) フェルナンド・ペソア『新編 不穏の書、断章』平凡社ライブラリー (2013) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー日記 『文学空間』 メモ ”本を読むことは天分など必要としないし、そうした生得の特権にすがることを弾劾するものである。作家も読者も、誰ひとり天分を授かってはいない。授かっていると感ずる者は特に、自分が授かってはいないことを感じ取り、人々が彼に…
この記事は自分の覚書なので、登場人物の年齢を書いておく。 第六話では花山天皇の女御藤原忯子様がお隠れになったとのことなので、即位から二年後の986年のことだから、登場人物も2年づつ年をとっている計算である。 ※ただしこれは各人の生年からの単純計算であり、当時は新年を迎えるごとに年齢を重ねていた数え年なので史料に見える年齢とは若干ずれているのかもしれないが、自分はたんなる通りすがりのドラマ視聴者なのでその点はご容赦ください。 目次:クリックで各項目へ飛べます まひろの教養を育てた左大臣家 凋落の予感 氏の長者としての振舞い 身分制度の外の者 まひろの教養を育てた左大臣家 父との共謀により、まひろ…
これは壇蜜さんの「壇蜜日記」にあった一節。 最近は「好き」や「楽しい」を仕事にするのが良いみたいな風潮がある。 そうでないと不幸だ、みたいな。 そんな思想へのカウンターパンチになる考え方。 また、楽しいだけでなく、ツライと感じるのも間違っている。 それが壇蜜さんの考え方のよう。 過度のストレスになる仕事は、仕事ではない。 詳しい説明がされているわけではないのが、言葉について考えさせられる。 短いですが、良い言葉。 この日はこの一節から始まる一文のみで終わっている。 それもオシャレですね。 日記を読んでいて、ふいにこういう意味深な言葉が出てくるからそれがまた面白い。 日記文学って面白いですね。 …
日記にその日起こったことに関して感想も交えつつ書き続けると、数百年後には日記文学扱いになるんだが、でもこれは人に見せるつもりではなく自分の中に留めるからだよな。 こういうインターネットに公開して衆目に晒して世間への感想を書き続けていると、自分の思考に捕らわれて泥になるので良くないゾ。
今朝も五時四十分起床。それほど寒くない。もっとも、寒い寒いと騒いでいる日も、ゴミ捨てのために外に出た時に吐く息の白さに驚くということはほとんどない。結婚して西荻のこのマンションに住むようになってから十年くらいは朝の吐く息の白さのことを何度も日記に書いたような記憶があるが、ここ数年はないのではないか。これが温暖化なのか。 仕事。九時半、電話で食品会社の案件の打ち合わせ。コメントをいただいた有名シェフがとても謙虚で好感が持てた。 十時、別の案件のリモート打ち合わせ。ちょっと楽しい。 十一時、妻が仕事で浅草へ。ぼくは残って作業。十二時、パンで昼食。 十四時、さらに別の案件のリモート打ち合わせ。一年ぶ…
今日は「さみしい夜にはペンを持て」を参考図書とするBook Cafeを開催。「大人にとっての寂しさとは?」「書くことで「自分」を見つけていく」「思いついたことをメモして言葉貯金を増やす」等の話題で語り合いました。そこから「土佐日記は内省ではない?」「信頼関係がなければ問答は成り立たない?」など,色々な方向へと派生していきました。対話をすることで,自分の中で言葉にならずモヤモヤした部分が少しずつ形になっていく感覚を味わうことができたように感じます。以下,参加された皆さんからのリフレクションです。平日の夜にも関わらず貴重な時間を割いて参加してくださった皆さん,本当にありがとうございました! ・考え…
読んだ本 富山豊『フッサール 志向性の哲学』青土社 (2023) 山城むつみ『文学のプログラム』講談社文芸文庫 (2009) フェルナンド・ペソア『新編 不穏の書、断章』平凡社ライブラリー (2013) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "可能なもの、正当なもの、近いものを夢見る人のほうが、遠くのものや奇妙なものを夢見て身を滅ぼす人よりも哀れだ、と私は思う、大いなる夢を見たり、気が狂っていたりするならば、自分の夢を信じることができて幸せだし、ただの夢想家にとっては、夢想は無言で彼を揺する塊の音楽だ。ところが、可能なものを夢見る場合は、ほんとう…