サミュエル・ハンチントンの著作。1996年出版。 原題は『The Clash of Civilizations and the Remaking of World Order』 (「文明の衝突と世界秩序の再創造」) 共産主義というイデオロギーの崩壊により、宗教などを基軸とする文明が新たな対立軸になることを説明したもの。
文明の衝突
今回は「文明の衝突」を要約していきます。 冷戦以後の国際関係(ソ連崩壊・西欧中心主義の崩壊)を整理し、未来予測した本です。21世紀に中東地域で発生した紛争など一部の事実を予言したとして定期的に話題にされる国際政治の本です。 ■文明の衝突 ■ジャンル:政治学 ■読破難易度:中(世界史・宗教に関する基礎知識があると読みやすいと思われます。地域や文明を度々カテゴライズするので、その区分の背景が理解できないと読みづらさを感じると思われます。) ■対象者:・国際政治・国際関係に関して興味関心のある方 ・宗教・イデオロギー対立がもたらす影響について興味関心のある方 ・西欧中心主義に関して理解を深めたい方 …
サルからヒトへの進化や文明史の検討において、文明の定義には「侵略・戦争・殺害・奴隷化」を基準として追加する必要があると考えるようになりました。 英ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)の研究チームは、5600万人の南北アメリカの先住民が大量虐殺(疫病死などを含む)されたとしています。アメリカ国務省は先住民を200万~1800万人と推定していますが、現在の先住民の人口が200万人ほどであることからみて1000万人を超える殺害が行われた可能性が高く、インカ帝国では1500万人が殺害されたとされています。そして、原住民は奴隷として鉱山やプランテーションで働かされて殺され、アフリカから1200…
Mohamed Lamine KABA New Eastern Outlook 25 March 2024私たちが今日生きている世界は、数千年の銀河系である。それは、人類と国際関係の歴史を構成する多種多様な変異の記章を内包しており、カール・マルクスのテーゼを用いれば、「階級闘争」によって特徴づけられる歴史である。このように、ディドロが「何人も自然から他者に命令する権利を与えられてはいない」と言ったように、西洋の他の国々に対する支配は、取り返しのつかない神の事実ではない。これこそが、ロシアを中心とするBRICSの勢力圏の拡大が、世界情勢の力学を理解するよう促していることなのだ。フランシス・フクヤ…
2024年3月20日投稿 本稿のおわりに 本書の著者は、「本書の目的は、戦後史全体の大きな流れをふまえた上で、日本政治の現在を理解することであった。ここまで75年間(1945年~2020年)の歴史をたどり、われわれはようやく「いま」について語りうる段階に至った」と書いている。55年体制から「改革の時代」を経てたどりついた政治システム、それをこの筆者は「ネオ55年体制」と呼ぶ。1990年代の政治改革には、「政権交代の可能性がきわめて低い」、「首相のリーダーシップが弱い」という55年体制の弱点を解消する狙いがあった。では、実際の結果はどうであったか。2000年代には民主党が自民党に比肩する政党に成…
~隋書が、魏志倭人伝から邪馬台国を削除していた~ 2024.3.18. 殿岡 誠一郎 魏志倭人伝によれば、邪馬台国は「山島」にあった。この「山島」こそが、倭人伝のキーワードであった。このキーワードをもとに、邪馬台国探求の旅が始まる。邪馬台国は、九州の北部沿岸にある“山”の麓にあったのだ。しかも、倭人伝にいう邪馬台国は、後世の中国の正史からは完全に無視されている。倭人伝が邪馬台国としたのは、邪馬台という地名の誤記または誤認、だった。 一方、中国歴代の正史は、各時代の日本の都の所在地を示していた。外交関係を結ぶためには必須の情報であるから当然であるが、それにとどまらず、中国の史書は、日本の歴史をそ…
・昭和型のOSをアンインストールせよ ・宗教OS論 もう10年以上も前になるが「宗教OS論」というのを思いついたことがある。私はもともと「宗教が感情を支配している」と考えており、ちょうど3Dプリンターやビッグデータ、ロングテールなどがもてはやされた頃だった。その後AIが脚光を浴びるようになり、遂に昨年生成AIが登場した。ChatGPTが世界を完全に変えた。画像・動画から文章・音楽に至るまでAIで作れるようになった。 私が考えた宗教OS論は以下の通りである。 ・CPU――才能 ・メモリ――感受性 ・ハードディスク――自我 ・マザーボード――家庭環境、地域性 ・ディスプレイ――社会的身分 ・Win…
2024/02/27 『ロシアとは何か モンゴル、中国から歴史認識を問い直す』(宮脇淳子:著/扶桑社)を読んだ。 まずは出版社の紹介文を引く。 ロシアを紐解けば世界がわかる! 「偉大なるロシアの復活」を標榜してウクライナ侵攻を続けるプーチンのロシア。一体、プーチンの描くロシアとは、何百年前の、どのようなロシアなのか? ロシア人とはどのようなルーツの人々なのか? 習近平の中国もまた「一帯一路構想」を提唱するが、ユーラシア大陸全体を支配する世界覇権をめざしているに等しい。「文明と文明の衝突の戦場では、歴史は、自分の立場を正当化する武器になる」と著者は説きます。ところが、「イスラム文明の内部では歴史…
ユーラシア・ウェストファリア世界秩序16世紀に西洋中心の世界が出現する以前、古代のシルクロードは紀元前2世紀から紀元後15世紀まで、交易路のネットワークを通じて中国、インド、中央アジア、中東、ヨーロッパを結んでいた。シルクロードは文化交流と国際貿易を促進し、新たな経済中心の出現と強力な帝国の台頭をもたらした。また、シルクロードはローマ帝国の成長にも貢献し、製紙、医療技術、火薬など、中国に由来する新しい技術やアイデアをローマ人に提供し、西洋文明の発展に大きな影響を与えた。シルクロードはグローバリゼーションの初期のモデルであったが、世界の文明は主に遊牧民の仲介によって結ばれていたため、共通の世界秩…
1Qのレポートなんかも大体落ち着いてきたころだと思いますので今回は僕が特に気に入っているSF,「旋舞の千年都市」の紹介をしたいと思います。 舞台は2027年、念願のEU加盟を果たしナノテク産業と天然ガスに沸くイスタンブール。そして自爆した本人以外誰も犠牲者がいない奇妙な自爆テロから物語は始まります。自爆テロに遭遇した後から空想上の存在「ジン」(日本で言えば精霊のようなもの)が見えるようになった青年、持病を抱えながらも優れた頭脳でロボットを操る好奇心に満ちた少年、世捨て人になった老経済学者、巨大企業に詐欺を仕掛け一儲けたくらむ男、「蜜人」というミイラ探しに人生をかけるその妻、ナノテク企業の営業と…
5chアニ速 世界中のチームが集められるだけの絶望感あってやばかったよな https://i.imgur.com/jnVwfFl.jpg 5chアニ速 もう敵の強さがよく分からなくなってたな ぬらりひょんよりは弱いんやろ? 5chアニ速 スーツ意味ないし強すぎやろ 5chアニ速 イタリア編ほんますこ 5chアニ速 稲葉が覚醒するところだけ見どころある 5chアニ速 ワイなら逃げに徹するわ 5chアニ速 雑魚敵にすら一発でスーツ持ってかれるのはやりすぎやわ 絶望すぎる 5chアニ速 こいつら何で戦ってたんだっけ 5chアニ速 妖怪好きのワイからすると大阪編が1番好き 5chアニ速 ここら辺のガン…
十字軍・テンプル騎士団の歴史を解説【読書居酒屋】 動画 YouTube https://www.youtube.com/watch?v=YAACelMQy18 地図 十字軍時代 主な十字軍の経路 アラブから見た十字軍 世界史用語解説 授業と学習のヒント より キリスト教側が聖地回復を掲げて起こした十字軍は、アラブ側から見れば明らかな侵略であった。その後の千年に及び反西欧の怨念が残ることとなった。 キリスト教徒側から起こされた十字軍運動が、アラブ世界(必ずしもアラブ人だけではなく、トルコ人、イラン人、クルド人なども含む)にどのように受け止められ、またその攻撃と反撃の実態がどのようであったかを詳細…
「西洋/イスラーム」「文明/野蛮」「テロ/正しい戦争」.自爆テロをめぐる議論は固定化された枠組みに囚われ,思考停止に陥っている.越境の思想家アサドが「文明の衝突」や「正しい」戦争といった従来の議論を超えて,新たな時代の文明論を切り開く――. タラル・アサド(Talal Asad)は,「越境の思想家」と呼ばれる文化人類学者である.父はロシア系ユダヤ人でイスラム教徒,また母はサウジアラビア出身で,アサドはインド,パキスタン,イギリス留学を経てポストコロニアリズム,キリスト教とイスラム教の比較研究を専門とする.彼の妻は無神論のイギリス人である.アサドは,異文化の狭間で呼吸をしてきただけに,リベラルと…
一斉接種の予定だそうです : メモ・独り言のblog モスクワ、1月24日。/TASS/. ロシアは2025年までに4成分のインフルエンザ・ワクチンの市民への一斉接種を開始する予定です。同時に、他の国々はこのような計画は2030年までには完了している、とロシア科学アカデミーの学術者であるロスポトレブナゾール中央疫学研究所のアレクサンドル・ゴレロフ科学副所長は述べています。 「今年、すでに70%の子供たちが4成分のワクチンを接種しました。しかし、一般的には、2025年までにロシア全土が4種混合ワクチンのみに切り替わるでしょう」と、ロシアの現在の疫学的状況を扱ったイズベスチヤ紙との記者会見で述べま…
読んだ本 島田裕巳『宗教対立がわかると「世界史」がかわる』晶文社 (2022) 小室直樹『日本人のためのイスラム原論 新装版』集英社インターナショナル (2023) 内村鑑三『余はいかにしてキリスト信徒となりしか』岩波文庫 (2017) フェルナンド・ペソア『新編 不穏の書、断章』平凡社ライブラリー (2013) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 本を読みたいという意欲、活力が止まらない一日であった。 平日は仕事なので、今日は充実感でいっぱいの一日であった。 最後の作業として、今日一日の収穫をこの日記にまとめあげることが残っている。 それを今…
本リストは、私、長尾が2023年度に「日本研究概論」という授業で学生に紹介した文献リストの一部を公開するものです。聴講者は1、2年生向けの入門講義でした。 講義としては、日本研究の来歴を振り返り、近代日本の文化を今日的な視点から研究する際の論点をトピックごとに論じるというものでした。学際的で多岐にわたる領域の話なので、何かしら気になったところから読書が広がっていけばいいなと思い、まだまだ不十分ですが、提示します。 ※各論については省略します。 日本学/日本研究の方法 日本文化論・日本人論 外から見た日本 日本研究を支える人と資料 日本学/日本研究の方法 西川長夫『国境の越え方』増補版(2001…
前編↓ 後編↓ spotifyanchor-web.app.link 『塵に訊け』がやっと新訳で出たぞ〜〜〜〜〜祭りだ〜〜〜!! ということで、訳者の栗原俊秀さんをお迎えした新春スペシャル。 前編はあんまり『塵に訊け』の話はしてないんですが笑、我々とファンテとの出会いについておしゃべりしています。 後編では満を持して、『塵に訊け』の感想を栗原さんに剛速球で投げつけています。 この機にぜひみなさんも、ファンテの著作を読んでみてほしい。 どれかひとつでも。きっと心に響くはずです。 栗原俊秀さんプロフィール 1983年生まれ。翻訳家。 イタリア国立カラブリア大学文学部専門課程 近代文献学コース卒業 …
Chris Hedges The Chris Hedges Report Jan 22, 2024ジョー・バイデンの側近の中東戦略家たち(アントニー・ブリンケン、ジェイク・サリバン、ブレット・マクガーク)は、イスラム世界をほとんど理解しておらず、イスラム抵抗運動に対して深い反感を抱いている。彼らはヨーロッパ、アメリカ、イスラエルを、覚醒した西洋と野蛮な中東との文明の衝突に巻き込まれていると見ている。彼らは、暴力がパレスチナ人や他のアラブ人を意のままにできると信じている。彼らは、米国とイスラエル軍の圧倒的な火力が地域の安定の鍵であると唱えているが、それは地域の戦争の炎を燃やし、ガザでの大量虐殺を…