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指揮権

(社会)
しきけん

法務大臣が検察庁を指揮する事。

検察庁は行政機関であり、国家公務員法の規定に基づき、その最高の長である法務大臣は、当然に各検察官に対して指揮命令ができる。しかし、この指揮権については検察庁法により「検察官の事務に関し、検察官を一般に指揮監督することができる。但し、個々の事件の取調又は処分については、検事総長のみを指揮することができる。」として、具体的事案については検事総長を通じてのみ指揮ができるとしている。
法務大臣の指揮権は民主主義的な支持基盤を持たない行政機関である検察が独善的な行動をとらないよう掣肘する目的も有しており、法務大臣の人事権とあわせて民主主義的な行政機関のコントロールを意味している

法務大臣と検事総長の意見が対立した場合、かつては法務大臣の指揮に従わないこともあり得る旨を述べた検事総長もいて国会等で国家公務員法違反にあたると問題とされたが、法的には「法務大臣の職務命令に重大かつ明白な瑕疵がない限り違法なものでも服従する義務がある」とされ、個々の事件についても検事総長を通じて各検察官に対して間接的に法務大臣の指揮命令が及ぶことになる。その結果是非については、指揮権を発動した際の国民世論が決定することとなり、政治責任の問題である。
検察官はそれぞれが検察権を行使する独任官庁であるが、検察官は刑事裁判における訴追官として審級を通じた意思統一が必要であることから、検察官は検事総長を頂点とした指揮命令系統に服する(検察官同一体の原則)。
検察官は、例外を除き起訴権限を独占する(国家訴追主義)という極めて強大な権限を有し、刑事司法に大きな影響を及ぼしているため、政治的な圧力を不当に受けないように、ある程度の独立性が認められている。

この指揮権は、1954年4月21日、吉田内閣の法務大臣犬養健が造船疑獄に際して当時の自由党幹事長佐藤栄作の逮捕を通常国会の会期終了まで延期させたことがある。それ以後は一度もない。

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